米国肝臓学会に出席するため、出張でボストンに行ってきました。米国東海岸へのフライトでは、半日近く座ったままです。なので、この時間をいかに充実させるかが大きな問題です。映画を見るのもいいし、読書もいい。溜まっている仕事をするのにも良い時間です。この時間にアクセントをつけてくれるのが機内食です。少なくとも僕はそう思っています。
これがさみしいと、飛行機の旅もなんとなくさみしくなりそうな気がします。ですから機内食は重要です。でも、狭い機内ですから様々な制約があるのだろうと想像します。特にJALの経営が大変だった(と報道されていた)頃にはメニューにも苦労の跡が偲ばれました。
最近はワインボトルを含めて食器はプラスチックとなりました。軽量化、デザインなど色々な点で改良がなされているように思います。料理の幅も広がったのではないかと思います。苦労というよりも様々な工夫が感じられるので楽しみながら食べられます。
それから、搭乗して改めて感じたことがあります。エコノミークラス、広くなりましたねぇ。シートがすごくよくなっています。
もう15年以上前になりますが、僕が留学した頃、エコノミークラスは今よりすごく狭かったです。(そう記憶しています。)前の椅子との空間をかせぐため、僕は目の前のポケットに入っている雑誌や機内販売のカタログなどをまとめて上の荷棚に入れていました。そういった本の厚みなんて3cmにも満たないけれど、それでも随分広くなって楽になるような気がしたものです。それほど狭いものでした。
今は椅子が良くなって、かなり薄くなったようですね。おかげで大変快適です。背もたれの角度もなかなか良くて、あまり倒さなくても十分快適でした。これは食事をしたりする時にも大きなメリットです。
これはゆっくり楽しめそうだ、、、と思っていると、スナック(あられ)と飲み物が出てきました。
僕がいただいたのはアップルジュース。アップルジュースはなんとなくボストンとかニューヨークのイメージです。サンフランシスコとかカリフォルニアとかならオレンジジュースかもしれません。僕の薄っぺらいステレオタイプ的な知識が透けて見えそうですが。まぁ、いいでしょう。
しばらくして夕食の時間になりました。これも、昔は機内食のメニューが膝の前のポケットに挟んであったのですが、JALが苦しくなった頃からメニューがなくなりました。今回は、記憶の中では初めて、メニューが機内放送で紹介されました。もちろん、自分の皿を選ぶ時にも改めて説明していただけますが、これはなかなか良いアイデアですね。(帰りにはなかったので、これはキャビンアテンダントのかたのオリジナルかもしれません。)
で、今回のメニューは、豚汁とスパゲッティ+ハンバーグからの選択でした。ビーフとチキンの選択肢だったのはもう、今は昔。でも2種類のメインディッシュから選ぶ、というところは変わりません。好みは色々あるでしょうし、なんとなく推しているのは豚汁のように感じたのですが、僕的により「興奮する」メニューはハンバーグです。
やっぱりハンバーグでしょう。
赤と白のJALカラーの食器で供される3つの小皿とトレイを初めて見て感動したのは2014年でした。改めて大変機能的にできています。小皿のフタを裏返してトレイに並べて三つ乗せると、トレイとフタとの間の空間に不要のプラスチックやビニールなど折りたためるゴミを収納できます。
そして以前と大きく変わったのは暖かい皿のふた。以前はアルミでしたが、最近は透明なプラスチックになりました。以前と加熱方式が変わったのかな、、、。
などと思いながらまずは野菜から。根菜の角切りがあえてあるサラダ。葉物がちょっと欲しかったけど、今は高いからなぁ、、、なんて思ってしまいました。
三つの小皿の一つはキノコ、キャベツ、春菊、鶏肉がほのかなしょうゆ味とともに和えられた一品。「和」な感じがします。さっぱりしてなかなか美味しゅうございました。もう一品はとちょっと酸味の効いたツナポテトサラダ。ちょっと洋風です。雰囲気が変わって箸休めにはなかなかよろしい。そして最後の一皿がフルーツポンチ。あんずの甘酸っぱさが印象に残りました。
冷たい小皿とサラダをちょこちょこ頂きながら、メインのハンバーグとスパゲティに食を進めます。ハンバーグの横にはメニューで紹介してもらえなかったソーセージがお皿を盛り上げていました。それぞれに「肉」を主張する味で存在をアピールしていました。スパゲティはいわゆる洋食のナポリンタン・スパゲティです。分量、存在感は、付け合わせというより主食の地位を獲得してしまいそうなほどです。「ハンバーグのせナポリタン」と言っても過言ではありません。これにパンとハーゲンダッツのアイスクリームがつきますから、十分なボリュームです。加えて味のバリエーションが豊富なのでとても満足して最初の機内食をいただくことができました。
いつもならその後軽食が一度出されるのですが、今回は眠っていたらしく逃してしまいました。貧乏性なのでちょっと残念でした。
そして最後に、着陸の一時間半前にもう一度食事がでました。今度は吉野家の牛丼です。紅ショウガと溶き卵も含めて安定の味。付け合わせはコールスローと杏仁豆腐でした。この組み合わせもなかなかよろしゅうございました。着陸前に元気をもらった感じです。
全体として、いろいろな味を楽しむことができて大変満足いたしました。
長いようで短かったボストン滞在を終え、僕たちは帰路につきました。
ボストンへ行くのには直行便と乗り継ぎ便の選択があります。直行便はやや高価です。乗り継ぎ便は廉価ですが、時間がかかるデメリットと、以前に書いたように、荷物が届かないというリスクがあります。今回の渡米では、僕たちは行きの飛行機は直行便を選択し、滞在するホテルは学会場から最も近いホテルを選びました。でも、帰りは乗り継ぎ便を選びました。
『行きでトラブったら大変。ホテルも学会場から近い方が何かと便利。でも帰りは、時間が多少かかったって、荷物が届かなくったって、日本に帰ってしまえばなんとかなるさ。それよりお金が大切だ。』
というわけです。(実際に今回の学会場で、『ポスターが届かなかったからコンピュータでプリントアウトした!』と手書きのコメント入りのUSレターサイズのプリントアウトされたポスターが一枚ありました。)
僕たちは順調に学会出席を終え、帰国当日となりました。僕たちは朝4時起きで、ホテルを後にしました。これから20時間近い旅路の始まりです。朝5時には空港でチェックインを済ませ、6時過ぎのAmerican航空運航の国内線でニューヨークに向かいました。飛行時間は一時間ほどです。
ニューヨークのジョン F. ケネディ国際空港ではターミナル8に到着しました。僕たちは成田行きのJAL003便に乗り継ぐため、ターミナル1に移動しました。ターミナル1に入る前、おきまりのセキュリティチェクを受け、搭乗ゲートの前まで来ました。それなりに時間がかかったように思いましたが、まだ搭乗までたっぷり一時間はあります。ニューヨークの天気は雨。遠くの景色は全く見えず、エンパイアステートビルディングなんかも全然見えません。みやげ物もひととおりお店をひやかして、もう、することがありません。あとは食べることくらい。朝からの移動でお腹が空いてきました。そこで、日本にはないサイズのパニーニを食べ、カフェラテを飲み、「最後のアメリカ」を満喫して時間をつぶしました。
さぁ、搭乗。これから14時間の飛行機の旅です。帰りもボーイング787でした。なんとなく嬉しい。そして離陸後、しばらくして食事が供されました。(食べてばっかりですが、、、)
渡されたメニューをみると、チキンのマレンゴ風、またはポークカツカレーとなっています。「マレンゴ風」なる名称にもかなり惹かれたのですが、この場合、過去の経験から僕の選択肢はポークカツカレー以外にはありません。
カレーは香りが強いので、周りにいてもそれとわかります。機内食でこれを凌駕する香りはそうそうありません。僕はこの香りに「やられて」しまうんです。だから、メニューにカレーがあるときはいつもこれを頼むようにしています。少なくとも、今回もカレーを食べていて他の料理の香りが気になるということはありませんでした。
供された食事を見てあれ?と思ったことが。食器のデザインは行きと全く一緒なのですが、メインデッシュの蓋はアルミでした。
「電子レンジが搭載されていない787もあるのかな?」
「いや、もともと電子レンジで温めていないのかも、、、。」
「でも、それなら行きの機内食ではなぜアルミのふたでなくプラスチックフィルムだったのだろう、、、?」(この辺のことについてはいまだに???です。)
そんなことを思いながら、例によって成田→ボストン便の時と同じように、小皿の蓋を裏返したり、並べたりして食事の準備を整えます。
メニューはといえば、ぷーんと香るカツカレーに加え、三つの小皿にはスモークサーモンとポテトサラダ、お蕎麦、そしてアップルクランブルチーズケーキが載っています。これにサラダとロールパンが付いています。
でました。
僕に言わせれば、典型的、超機内食メニューです。
この組み合わせって、普通ありえないですね。よりどりみどりすぎ。世界中で、ここでしか味わえないんじゃないかと思っていつも楽しんでます。今回は駄目押しとして、味噌汁も頼んでみました。
さぁ、これをどう食べるか。
焼きそばパンを発明した日本人でも、カレーライスをパンではさんでいる人は見たことがありません。そんなわけで、カツカレーとロールパンを一緒に食べるわけにもいきません。まずはあたたかいカツカレーからいただきました。
過去に、機内食史上最大ボリュームのカツカレーだと驚いたことがありましたが、今回、その驚きはありませんでした。普通に満足できる分量で、味のバランスも機内食的に良かったと思います。
エスニックな香りにそこそこ満足したところで、趣向を変えてロールパンをいただきましょう。ここではロールパンを二つに割り、スモークサーモンとポテトサラダを挟んでバケットサンド風にしてサラダと一緒に楽しみました。ちょっと西洋風?な感じ。ホットな口腔が冷たいスモークサーモンとサラダで癒されます。
口の中が落ち着いたところで、お蕎麦の登場です。やっぱり日本人のシメは醤油だね!なんて感じでカツオだしのそばつゆと冷たいそばが口の中を引き締めます。キンピラゴボウがそばに乗っていて、薬味のネギと一緒にいただきました。ちょっとけんちんっぽい感じになって、楽しめます。今から10年以上前、アイルランド出身のGQさんが、ゴボウをみて「お前ら、根っこ食べのか!」と驚いていたことを思い出しながら食べました。
そして、ここまで食べて気がつきました。味噌汁の出番がなかったことに。これだけよりどりみどりですから、まぁそれもご愛嬌。味噌汁をゆっくり楽しんだ後、デザートとしてコーヒーとともに甘〜いチーズケーキを、時間をかけていただきました。
この機内食が、僕にとっては「日本に帰るんだなぁ、、、」と思わせてくれます。しみじみと。
そしてもはや定番となった感のあるハーゲンダッツのアイスクリーム。ここまで食べるとかなりの満腹感です。
その後、チョコレートブラウニーを間に挟み、着陸前の最後の食事です。
メニューはマッシュルームのパスタとサラダ、フルーツ、ヨーグルト。マッシュルームのパスタも、やっぱり、アルミのふたで温められて供されました。この組み合わせは普通に「あり」かな、、、と思い悩むこともなく、順番にいただきました。マッシュルームのパスタはチーズがしっかり効いていて、そこそこのボリュームでした。ヨーグルトなどもあわせ、なぜかとても「アメリカ」な感じがしたのは、先ほど食べた「ディナー」のおかげでしょうか、、、。
トータルのフライト時間は約14時間。半日以上の時間とはいえ、なかなかのボリュームです。
今回は飛行機のフライトマップを見ながら日本時間の「夜」に合わせて睡眠をとりました。朝の目覚めはややきついですが、今の所、この時差ぼけ対策はうまくいっているように思います。
毎年11月の米国肝臓学会への出張。もう10年以上、年中行事のように参加しています。いつもはワールドシリーズの最終戦やハロウィーン、夏時間から冬時間の切り替えなどと重なる時期です。今年はそれより一週間遅いタイミングで開催されました。
この学会の行き帰り、やっぱり毎年のように続けているのが機内食ウォッチングです。これも10年以上続いていることになります。ほとんど浮気 することなくJALかAmericanなので、定点観測のようになっていて、ちょっとずつ進化を遂げているのを実感できます。一時期、かわいそうな時もあ りましたが、だんだん快適になってきています。これは間違いありません。加えて今回は、初搭乗のボーイング787です。話題の流行からはずいぶん遅れてい ますが、いいんです。僕は初めてなんです。エコノミーですけど、いいんです。楽しみなんだから。そんなわけで期待しながら搭乗しました。
まず、座席の印象ですが、座ってみて、以前よりちょっと広くなっていると感じました。以前は自分の膝と前の背もたれの間のスペースを確保する ため、座席ポケットに入っている雑誌その他を全部上の荷物入れに入れてました。(今でも狭いときはそうしてます。)けれども今回はそんなことしなくても、 ポケットにパソコンを入れてもそれなりのスペースがあって快適でした。スクリーンの操作もタッチパネルになっていて、進化を感じさせてくれます。おぉ、 やっぱり進化している、、、。もう僕の頭の中は機内食への期待でいっぱいです。
最初の食事は離陸後しばらくして供されました。ビジュアルが今までと違います。メインデッシュの皿、小皿など、デザインが一新され、赤と白 のJALカラーで統一されています。さらに、メインディッシュの温かい皿を覆う蓋がプラスチックフィルムになっていました。これは初めてのことです。これ まではいつもアルミのふたでした。オーブンじゃなくて電子レンジで温めるようになったんですね。
さらに感動したのは、食器のデザインと収納機能でした。オカズ2品とフルーツが三つの四角い小皿で供されます。これがなかなか機能的なので す。この小皿は、さらに細長い長方形の皿に乗って三つ並んでいます。この長方形の皿は、三つの小皿の透明な蓋を開けて裏返し、並べて乗せるとぴったりハマ る大きさになっています。小皿は蓋の上に三つ並べることができます。すると長方形の皿とフタとの間に隙間ができます。ここに温かい皿を覆っていたフィルム とか、ドレッシングのパックなどを収納できるのです。おかげで、狭いトレイの上を整然と食べることができました。「和」ですなぁ、、、とか思いながらいた だきました。(勘違いかもしれませんが、そうやって使うように設計されてたのだと、勝手に思っています。)
さて、メインのお食事はと言いますと、これまたなかなか満足できるものでございました。
お腹が空いていた僕は、チキンではなくお肉を選びました。やっぱ、ここは肉でしょう。卵と調理された肉とゴボウと煮付けられた肉で見た目は二色 丼の様相です。卵、ゴボウと共に調理されたキヌサヤとインゲンの緑と、四角い食器の右下で花形にカットされたオレンジ色の人参が華やかさを添えます。まず は卵とじから。卵がふんわりと豚肉を包んでいます。やや甘い、優しい味です。いわゆる他人丼というやつですな。安心して食べられます。この安心感が大切だ よと思って脇に目をやると、ゴボウと一緒に甘辛く煮付けられた肉が存在感を主張しています。ポークだと思って食べてみると、ビーフでした。そうだよね。ゴ ボウと一緒は牛がいいよね、、、卵と一緒は豚がいいよね、、、そうだよね。そうだよね。うんうん。なんて喜びながら食べていました。
サイドディッシュはトマトソースの酸味が爽やかなロールキャベツ。ショウガの香り漂う肉味噌の乗った甘いカボチャ。いい感じの和洋折衷です。 生野菜は通常のサラダの上にニンジンと大根のスティックが3本ずつ載せられていて、ディッブソースも付いています。野菜スティック、サラダと、二回愉しめ てとてもよろしい。和食っぽい感じでそれほど重くないので、白ワインで十分美味しくいただけました。
さらにこの後、ハーゲンダッツのアイスが供されました。これは2012年頃からあったサービスです。チョコレートアイスでした。以前の時は氷 のようにコチンコチンで、しばらく食べられませんでしたが、今年は食事の途中で配られたので、食後には丁度いい硬さとなっていました。
こんなところにも細かい配慮がなされ、ハード面だけではなく、サービスの進化も続いているように感じました。カイゼン。素晴らしい。
途中、ブリオッシュの軽食を間に挟み、着陸前に供されたのは吉野家の牛丼でした。パッケージにはAIR吉野家、とあります。紙パックの丼の中 は二層に分かれ、ご飯の上の層はプラスチック小皿で牛丼の具が乗っています。具材を白いご飯にのせて、口いっぱいに頬張りました。着陸前の食事として、僕 的にはナイスストライクでした。
なんとなく丼って元気が出ます。これから頑張るゾ。という気持ちになって飛行機を降りたのでした。
今回の渡米では帰国する際もアメリカン航空にお世話になりました。AA135便です。ニューヨークを18時に発ちます。もう周囲はかなり暗くなってきています。
夕方といえば夕食の時間です。搭乗した時から何が出てくるんだろうと思いながら興味津々です。
離陸して間も無く出てきたのはミックススナック。あれ?ディナーが、、、。
ミックススナック、好きですよ。ちょっとしょっぱい小さなプレッツェルとか。すごくアメリカっぽい気がします。そして美味しい。でも、心の中では夕食の準備満タンだったのに、、、。
これだけじゃ帰っておなかすいちゃうよ、、、。
なんて、肩すかしを食ったような気持ちでスナックを食べていると、食事の配膳が始まりました。
よかった。何となくほっとしました。一瞬の肩すかしのおかげで、先ほどよりおなかがすいている気もします。食事は「チキン」と「パスタ」だそうです。たまたまこの日は、昼にセントラルパークでチキンのGyroを食べていたので、僕はパスタを選びました。
測ったわけではないけれど、8x12cmほどのサイズの皿のふたをあけると、シュレッドチーズがふりかけられたトマトソースが目の前に姿を現します。トマトソースはバジルが香り、日本で食べるトマトソースとはやや異なります。その真ん中にラビオリが島のように顔を出しています。フォークをいれて確かめてみると、一辺4−5cmほどのラビオリが確か8枚ほど、トマトーソースの底に沈んでいます。それらが重なって高くなったところが「島」のようになっているところでした。ラビオリにはさまれているのはモッツァレラのようなチーズでした。このチーズが味に厚みを加えてくれています。
シンプルですが、チーズ沢山でボリュームもかなりあって、なかなかパンチのあるお皿でした。
これに加えて、サラダ、チェダーチーズ、白パン、クラッカー、チョコレートブラウニーが食事を構成します。
チェダーチーズはクリームチーズタイプで白く丸いロールパンの真ん中をカットして食べたのですが、舌触りが滑らかでパスタとは異なるチーズの香りが楽しめ、美味しゅうございました。。
この機内食のもうひとつの特徴はサービスがはやかったことです。
一つは、食事が供された時間。離陸して間も無くスナックと飲み物が出され、間髪入れずに、夕食となりました。食事の時間だけでなく、片づけが始まるのもすぐでした。
片付けが始まったとき、僕はラビオリとサラダが食べ終わっただけでした。まだ、僕のトレイには、パンが半分と、チーズ、クラッカー、チョコレートブラウニーが残っていました。食べるのは決して遅い方ではないと思うのですが、、、。
僕は、急いでパンを半分に切ってチーズをはさみ、包装されているクラッカーとチョコレートブラウニーをプレートからよけて食器を返却しました。
そして、食後の飲み物がでるまでに即席チーズサンドを食べ終え、ホットコーヒーでブラウニーをデザートとして楽しみました。考えて見たら、今回の渡米でチョコレートブラウニーは食べていませんでした。小さなチョコレートブラウニーの強い甘さが「これから帰るんだな」ということを意識させてくれました。
あっという間に始まって、あっという間に片付けがおわると、すぐに消灯となりました。このフライトでは、14時間のうち10時間くらい、機内は暗くなっていたのではないかと思います。おかげで6時間近くのまとまった睡眠を確保できました。
着陸まで6時間あまりを残して、まだ機内は暗かったけれど、起きている人、目のさめた人には、軽食が配られました。行きと同様のハムのサンドイッチです。軽く燻製にされたスモークの薫るハムは、よくわからなかったけど、ターキーハムだったんじゃないかなぁ、、、。ポークとチキンの間みたいな味で、美味しいと思いました。
このハムが4枚ほどの薄切りハムが折りたたまれて、薄切りチェダーチーズとともにロールパンにはさまれています。ヨーロッパはわからないけれど、薄切りハムを重ねてぶ厚くするのは米国のサンドイッチなどではよく見るスタイルです。日本でもミルフィーユカツなんてのがあるけれど、肉の線維が細かくカットされているので歯ごたえが優しく、同時に風味が口の中に広がりやすい気がします。味付けとしてついていたのはマスタード。良い組み合わせです。
着陸まで一時間ほどを残して最後の食事が運ばれました。選択肢はチキン&ライスかピザ。なるべく「アメリカン」に終わらせたいと思った僕はピザを選択しました。
出てきたピザは直径12cmほど、深さ2.5cmほど、シカゴスタイルのディープ・ディッシュ・ピザでした。おぉ、これぞアメリカン。毎回のように小さなお菓子がついてきますが、今回もこれにペパリッジファームのクッキーがついていました。
僕は、ダイエットコークでこの高カロリーのピザを楽しみつつ、機内サービスの映画「ローンレンジャー」(西部劇)を見て、最後の「アメリカ」を満喫したのでした。
アメリカン航空にお世話になって渡米したのは恐らく10年ぶりくらいです。あくまでイメージでしかありませんが、以前と比較して、とっても楽める機内食になっていたと思います。
ごちそうさまでした。
先週、米国肝臓病学会(American Association for the Study of Liver Diseases: AASLD)に出席してきました。もう十年以上にわたって毎年出席しています。例年、ボストン、サンフランシスコのどちらかで開催されてきましたが、今年はワシントンD.C.での開催です。
例年は日本航空にお世話になっていましたが、今年は乗り継ぎ便の関係などから同じワンワールドのアメリカン航空とのコードシェア便に搭乗することにしました。
羽田6:50発のAA134便です。朝早い出発。5時頃に羽田空港の国際線ターミナルに到着しました。この時間に国際便に搭乗したことはありませんが、外貨両替の窓口はオープンしていました。
今は飛行機の発着は早朝から夜中まであるので、空港はフル回転ですね。
さあ、チェックインを済ませ、セキュリティチェックも終え、搭乗です。アメリカン航空にお世話になるのは随分久しぶりなので、とても楽しみです。何がって、機内食が。
離陸して間も無く朝食が供されました。担当は体格の良い男性。どう見てもコーカソイド。金髪。いわゆるアメリカ人男性。
「オムレツ?フィッシュ?」
と聞かれました。
「おぉ、オムレツが出るのか。アメリカっぽいな。」
と思いましたが、
「フィッシュ&チップスもいいな。」
と考え、魚を選びました。しかして供されたものは、、、
がびょーん。
サバの照り焼きでした。
気がつくと、先ほどの男性搭乗員、後ろの席の女性には流暢な日本語で話しかけてます。
「今日は焼きさば。焼きそばじゃないよ。こないだは焼きそばだったけど。一文字で随分違いますね。」
あれ?思わず後ろを振り返りましたが、やっぱり同じ人。
理由はわからねど、僕との会話は結局最後まで英語だったのでした。僕の英語だってどう聞いても片言の日本語訛りなはずなのに、、、。まぁそれはどうでもいいのですが。
出てきた料理で感じたポイントは二つありました。そして僕は、そのどちらもがアメリカ的?と思いました。
一点目は量です。
フィッシュとして供されたのは鯖の照り焼きでした。付け合わせにはほうれん草ときんぴらゴボウが脇を固めます。そして皿の半分にはご飯がこんもりともられています。当然日本のお米。この皿の量はまぁ普通です。個人的にはもうちょっと固めに炊いたほうが好みでしたが。昨年のJALのカツカレーの比ではありません。
ですが、この皿に加えて、クロワッサンとレーズンデニッシュ(バター&ジャムつき)、ヨーグルト、フルーツ、オレンジジュースがつくのです。
到着地のニューヨークとの時差が約13時間なので、朝食という名のディナーだったのかもしれませんが、いやいや、朝8時から満腹になりました。
そして次なるポイント、もうお気づきでしょう。メニュー構成です。
食べ物の包装は日本語表記ですし、鯖の味付け、ご飯も日本の味です。食材は日本で調達されたものと思います。機内食の味としては想定内です。
しかし、日本的感覚の「定食」としてみれば、あり得ない組み合わせです。メニューとして破綻しています。少なくとも日本的感覚では。
図らずも、他のお客さんと客室乗務員との会話から、鯖以外の別メニューに焼きそばがあることが判明しましたが、やっぱり破綻しています。
いずれもメニューをデザインする発想は同根です。
和食(しかもご飯付き)の皿と一緒にクロワッサンとかデニッシュなどが一つの食事として成立する感覚。多分ここにアメリカ的な感覚があると思いました。
彼らは深く考えていないだけだ、こだわりがないだけだという意見もありましょうが、だからこそ文化的背景の違いが明瞭になることもあると思います。
様々な文化を背景とする人たちが住む米国ですが、文化のるつぼ(melting pot)としてたとえられる以外に、サラダボール(salad bowl)に例えられることもあります。原型をなくして溶け合うのではなく、そのままの形で共存していると言うのです。今回の機内食はまさに、そのままの形でプレートの上に共存していたのでした。
異なる文化が出会い、共存する時のミスマッチ感覚は、ニューヨークのカルチャーイベントなどではテーマとしてよく取り上げられているかと思います。
鯖の照り焼きとご飯をナイフとフォークで食べながら、そんなことを思ってしまったのでした。
じゃあ、今回のミスマッチ感覚はどうだったかって?
そりゃあもう、上記のごとく「興味深いもの」でした。
道半ばにさしかかった頃、サンドイッチが出されました。ハンバーガーのバンズのようなパンにはさまれた薄切りのハムが四枚ほどとチーズが重ねられたものです。ケチャップとマスタードがついています
やや冷たかったので、好みが分かれるかもしれません。個人的には冷たいハムというのも、肉の「しっとり感」を楽しめるので嫌いではありません。結構楽しめました。そして、これまた同じ箱に付け合わせとして入っているのが、チョコレートバーにミニサラダせんべいという取り合わせ。うーん。アメリカっぽい?
チョコレートとせんべいはキープさせていただきました。
入国前から「素人的比較文化人類学事始」を久々に感じさせていただいたアメリカン航空、羽田ニューヨーク便の機内食でした。次には帰りの機内食を紹介しようと思います。
ボストンからの帰りの飛行機はBoston→Chicago→Naritaの経路でした。
機内食を食べられるのはChicago→Narita便です。
僕は、機内食のメニューに香りが強いものがあると、多くの場合、それを選んでいます。
周囲から香りが漂ってくると、もうそれにやられてしまい、食欲をかきたてられるからです。
帰りのメニューではポークカツカレーにやられました。
前の席からカレーの香りがぷぅーん。メニューが提示される前に勝負ありです。
このポークカツカレー、僕のエコノミー機内食史上、最大のボリュームでした。
カレーの皿は3cmほどの深さでアルミのフタがかぶせてありました。このフタが盛り上がっているのです。フタを外すため、手に持つと、ずっしりと重さを感じます。フタを開けると、その堂々たる全容が明らかになりました。
15x10cmほどの容器の左半分にご飯が盛られています。水ではないですが、表面張力状態です。左下に配された緑色のブロッコリーは器から若干はみ出しています。
右半分には淵いっぱいにカレーの湖が広がります。湖面には、小さく刻まれた赤いパプリカが少量ふりかけられて彩りを添えています。そして、それらをつなぐ真ん中に、三つにカットされた8x8cmほどのトンカツが、堂々と横たわっています。
鼻腔をくすぐるカレーの香りと迫力ある外観がワイルドな興奮を呼び覚まします。
肝心の味、ですが、特に主張の強くないご飯、トンカツ、カレーでありました。
ただ、このコメントには間違いがあります。機内食に街場の名店の味をそのまま求めてはいけません。機内食の枠の中で楽しむことがルールです。
その観点からすると、それぞれの協力関係は揺るぎないものでした。
スパイシーなカレーにトンカツが味の厚みを加えていたおかげで、ボリューム満点のご飯を最後まで飽きずに食べることができました。かくのごとく三者が力を合わせた結果、メインディッシュの重責を果たしていました。
そう言えば、カツカレーを考えたのはジャイアンツの千葉茂選手だと聞いたことがあります。千葉茂選手は長嶋茂雄さんの前に背番号3を背負っていた選手ですね。
今回のカツカレーはスポーツ選手発想のメニューに相応しいボリュームです。さすが運動選手。ワイルドな迫力の素晴しいメニューです。
そんな訳で、千葉茂選手に感謝しながら完食いたしました。
お願いすると、紙コップにではありますが、温かい味噌汁をいただけて、一段と日本らしさが増します。カレーに味噌汁。イイですねぇ。「和」な感じがして。
それらの脇を固めるのは、二つの小皿。冷たい素うどん、牛肉の煮付けです。
日本行きの機内食では小皿に「和食」メニューが添えられる事が多くあります。かつてはエビの握り寿司とか、いなり寿司をよく見かけた気がします。今回はその役割をウドンが果たしたと言うわけです。ワカメと甘い油揚げが、カツオだしのウドンつゆにアクセントをつけていました。
牛肉の煮付けでは、サトイモ、インゲン、ニンジン、タマネギと、豊富な具材が使われていましたが、冷たいまま供されたのがやや残念でした。ただ、冷たく甘辛いその味は、ホットなカレーの脇役として、福神漬け的な立ち位置を獲得していたようにも思いました。
そしてデザート。こちらもボリュームがありました。メロン、オレンジ、グレープの盛り合わせ。
最後にハーゲンダッツのバニラアイスクリーム。これはシカゴの寒さを彷彿とさせるほどカチンカチンで、しばらく食べられませんでした。氷のような堅さです。
しばらく目の保養として放置した後、おもむろに味あわせていただきました。まぁこれはご愛嬌です。
ボリューム満点機内食の興奮を冷やすのには大変良い、冷たい甘さでした。
その後、着陸の二時間ほど前、満腹感と興奮がようやくおさまった頃、軽食が供されました。
メニューはサーモンのペンネ、クリームソース。これにサラダ、フルーツ、ヨーグルトがつきます。
これは日本帰国の機内では時々経験する定番メニューで、何となく安心感があります。
あぁ、帰ってきたんだなぁ、、、、なんて思いながら今回の米国出張最後の食事を終えたのでした。
今回のBoston出張では、行き「成田→ジョンFケネディ空港(ニューヨーク)→ローガン空港(ボストン)」、帰り「ローガン空港(ボストン)→オヘア空港(シカゴ)→成田」と乗り継ぎ便を利用して行ってきました。
成田からボストンへの直行便が新たに就航しています。体力的には直行便の方が圧倒的に楽です。ただ、値段があまりに違うので、断念しました。やはり、金額は体力で補うしかありません。
でも、直行便じゃなくたってイイんです。去年までと変わりないということだし、機内食を食べられるのだから、その点ではどっちだってイイんです。(と自分を納得させています。)
さて、今回、僕が楽しんだエコノミー席機内食の印象を簡単に言うとこうなります。
往年の「機内食」、堂々復活!
もちろん、良い意味で、です。
「復活」と言っても、僕の記憶に残っているのは、経営が大変だと言われるようになるちょっと前からです。その頃と比較して、と言うことです。今から思えば、その後、一時、機内食は苦戦していたように思います。
成田→ニューヨーク便の今回のメインディッシュは
J級牛肉とタマネギの甘辛煮
J級グリルチキンオリエンタルライス
からのチョイスでした。
最初はビーフにしようと思ったのですが、写真を見ると、黒い丸が、、、。あれはシイタケに違いないと思い、慌ててチキンにしました。いや、食べられるのですが、チョット苦手なもので。
食べてみると、「オリエンタルライス」は、僕とって、とても「アメリカ風」な味付けでした。J級というのは日本産の、という意味でしょうか。
暖められた四角い皿の左半分がチキン、右半分がライスです。
脂身の少ないチキンにかかっているのはマッシュドポテトとトマトソースです。マッシュドポテトがアメリカっぽいように感じます。
ライスにかかっているのは、アメリカでよく出会うテリヤキ風に味付けされ煮込まれたチキン。小さく賽の目に刻まれたトマトがほんのちょっとアクセントを加えています。周囲には炒りタマゴ。米国風親子丼と言ったところでしょうか。
オリエンタルと言えば、確かにオリエンタルです。アメリカ人の想像するオリエンタルってこんな味かもね、、、そう思いました。
これに、小皿が三つつきますまず、。ツナサラダとフライドフィッシュ。ツナサラダは多分アメリカで一番よく出会う魚料理です。フライドフィッシュは塩がきいていました。美味しかったですが、人によってはちょっとしょっぱいかも。
そして、コールスローとペンネ。このペンネにかかっていたのは、チリソースでした。メキシカンな味わいです。
もう一皿には人参、ダイコンの野菜スティックと、うす切りカボチャが乗っています。ディップ用のソースもついていました。そして野菜スティックの下にレタスとムラサキキャベツがしかれていました。ドレッシングはヴィネガーがきいていてなかなか美味しゅうございました。
さらにアイスクリームがつきました。ハーゲンダッツのクッキーアンドクリーム。とってもアメリカンな感じです。
味付けの細やかさは日本的ですが、基本的な風味や味付けはアメリカンな印象でした。「これから渡米だ!」という気持ちが改めて強くなります。
そして、着陸二時間ほど前に、暖かい酸味のある香りが漂ってきました。良い香りです。米国上陸を前に胃袋が騒ぎ始めました。
出てきたのは、「東京 日本橋 三代目 AIRたいめいけん」のタンポポオムライス。数年前からつづく、たいめいけんとのコラボは健在でした。
このタンポポオムライス、食べるまでに一手間かかります。
タンポポオムライスは中が二層になった厚紙の四角い容器に入っていました。中にはチキンライスとオムレツが別々に治まっています。
ふたを開けるとまず、オムレツの乗った中皿が目にはいります。これを取り出し、下に入っているチキンライスの上にオムレツをそっと乗せます。オムレツは意外にフワフワな感じ。
このオムレツにナイフで切れ目を入れ、開きます。中は半熟でとろっとしています。ここにケチャップをちょろっとかけてでき上がり。
味はと言えば冷凍食品のそれにかなり近いですが、けっこうアツアツで、チキンライス、オムレツ、ケチャップの香りが渾然と立ち上がります。
これにサラダとアプリコットゼリーがついています。なかなかのボリュームでお腹がいっぱいになりました。
海外出張の飛行機搭乗は、仕事とはいえ、旅の始まりです。ここで悲しい気持ちになるようでは先が思いやられます。その意味で、機内食を楽しみつつ、お腹をいっぱいにしていただくことは大変大切です。少なくとも僕にとって。
この点で、今回も、やる気を充電して米国の地を踏むことができました。
海外旅行に行ったことがなかった若かりし頃、海外旅行に行ってきた友人が国際線の飛行機の話をしてくれました。曰く、国際線では飛行機では食事が出るとのこと。
なにぃ、そんなに長く飛行機に乗っていられるのか。何となくスゴくうらやましい、、、。そう思って聞いていると、既に「機内食」を経験した友人たちが話に乗ってきました。
「あれ、マズイよなぁ。」
「こんなトレイに乗って、こんな皿に乗って出てくるんだよなぁ。」
まぁ、当時、そんな話ができる彼らは少数派だったと思います。でも、やはり、だからこそ、彼ら会話はとてもうらやましく聞こえました。
なぜか、彼らがどこに行ったかは問題ではありませんでした。飛行機でご飯を食べた、そのことが何故かすごく羨ましかったのです。
ふぅーん。そうなんだ。いいなぁ、、、。どこがいいのかわかりませんが、以来、機内食は僕のあこがれとなりました。
そんなこともあり、ブログを書き始めて以来、国際線に乗ったときには、ほとんど毎回、その感想を記してきました。先日、米国Bostonに出張に行ってきたので、今回も、米国行きの飛行機で供されたエコノミー席機内食の記録を残しておこうと思います。
ブログに書き始めてからだけでも、エコノミー席のメニューがなくなり、ワインのボトルがガラスからプラスチックになり、有名店とのコラボが始まり、、、、とイロイロな変化がありました。
そういう点では、この機内食レポートは、JAL国際線アメリカ便エコノミー席機内食の定点観測記録みたいな趣きが出てきたと思っています。
まぁ、思っているのは間違いなく僕だけですけれど。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
最近のコメント