才能の科学
「失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織」「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」を読んでいずれも大変興味深かったので同じ筆者による本書「才能の科学 人と組織の可能性を解放し、飛躍的に成長させる方法」も手に取りました。
結論的に一言で言ってしまえば、「努力は才能を凌駕する」という本です。
ただ、やっぱり天才はいるよね。たぶん。本書を読み終えた今でもそう思います。
ただし、努力なしの天才は存在しないのかもしれない。とは思いました。あのイチロー選手だってこう言っています。
「努力せずに何かできるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうじゃない。努力した結果、何かができるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうだと思う。人が僕のことを、努力もせずに打てるんだと思うなら、それは間違いです。」
ただ、本書が語るのはそういうことではありません。なんと、多くの場合、「努力は才能を凌駕する」らしいのです。まさか、と思うけれど、それが「まさか」ではないことが、さまざまなエピソード、事実とともに明らかにされていきます。
マルコムグラッドウェルの「天才!」にもあったように一つの鍵は10000時間のトレーニングでした。でも、10000時間、ただ車の運転をしても、カーレーサーにはなれません。レベルと目的に見合ったトレーニングが必要となります。
そして信じる力も大切です。プラシーボ効果なんて言葉がここで出てくるとは思いませんでした。
さらに、必要なのは、望まぬ結果となった時の受け入れ方。ダブルスタンダードを効果的に活用します。ある意味ではずるく立ちまわるということもできるでしょう。でもそれが精神的な健全性を保ちながら、次の試練に立ち向かうエネルギーを燃やすことに大きく貢献するということでした。
トレーニングの大切さについては30年以上前、僕が学生時代の頃、King of Skiと言われた荻原健司氏が雑誌numberのインタビューで答えていたのが今でも印象に残っています。
それは、(正確な文言は失念しましたが)双子の弟次晴氏と遺伝子的には全く同じで、一緒に同じトレーニングを積んできたのに、成績に大きな違いがあるのはなぜなのか、という問いに対しての答えでした。「自分は全ての練習のメニューにおいて、試合のどの場面でどのように応用できるのかを考察し、想定しながら練習をしてきた。音楽を聴いたりしながらメニューをこなすだけの選手と結果に差が出るのは当然だ。」というような内容でした。努力の質が大切なのですね。
今から頑張っても遅いのだろうけれど、「あきらめたらそこで試合終了ですよ」と心に念じながら頑張ろうと思いました。
そして、若い人たちが頑張れる場を作るのも自分の仕事かな、と思いました。
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