予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか
「予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか [ アトゥール・ガワンデ ]」を大変興味深く読みました。時を置いてまた読もうと思います。
本書は、医師である筆者が研修医時代に経験したことを基に、深い洞察をもって「現場」を語った一冊です。最初の出版は2002年、翻訳の出版は2004年。最初の出版から15年をへて、題名を変え、2017年に再版となりました。考察は普遍性を持ち、古さは感じません。
原題はComplications (合併症)です。でも「合併症」の一言で済ませてしまうより、良い邦題だと思います。簡単に答えを出すことはできません。それにしても、本当に研修医時代に書かれた文章なのでしょうか。世の中に、これだけ深い洞察をもって仕事をしているとは。研修医がいるとは自分を含め出会ったことがありません。
たしかに、日々の経験を普遍化することは次の経験につなげる最善の方法だと思います。でも、この著者のように考察を巡らせていたら、凡人の僕などは、考察だけで1日が終わってしまいそうです。
だからこそ、彼のような優秀な人に考えてもらい、僕はその成果を読ませてもらい、勉強するのがいいのかもしれません。
臨床医学には先人の経験を共有することで自分の経験とすることで進歩する、そういう側面があると思います。
カオスから新たな創造をすることは難しくても、彼のように賢い人から学ぶことは、気持ちさえあればいつになってもできるのだ、そう思いました。
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