アナリシス・アイ
アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます (小学館新書) [ らいかーると ]を読みました。
端的に言えば、副題の通り、「サッカー観戦の技術」解説本です。なんとなく見ているのと、分析しながら観戦するのとでは、その試合から得られるものには大きな違いがある、それは間違いないでしょう。筆者は『「分析」の積み重ねが、サッカーで最も大事な「結果」を継続的に手に入れる一番の方法となります。』と言います。そして、本書の中で示されている分析の方法は極めて具体的で、明日からのサッカー観戦に応用できそうな内容です。
観戦技術についての解説はサッカー特有のものですが、分析をすることが、継続的な結果を手にするための一番の方法であるという考えは、日常生活の多くの場面に適用できるものと思います。しかも、もやもやと考えるのではなく、考えるポイントを明確にしつつ、全体を俯瞰する視点を持ち合わせることが大切なのでしょう。でも、言うは易し、行うは難し。
人が分析したのを「なるほど」と理解できることと、自分が分析できることの間には天と地ほどの差があります。人の分析を聞くのは楽です。実際、本書前半の内容を踏まえて、後半で示される2試合の分析を読むと、とても面白く、刺激的です。でも、ここで分析されているような内容を自分で再現できるかと言えば、そんなに簡単なものでは無いと思います。簡単では無いけれど、習得可能な技術なのだな、と思わせてくれるのが本書のえらいところだと思います。
技術を習得するには、経験を積み重ねることが必須です。サッカーに限らず、いろいろな経験を分析的に積み重ねていきたいと思いました。
そして、読んでいてもう一つ印象的な文章がありました。『スヌーピーの名言である「配られたカードで勝負するしかないんだ」という言葉はサッカーにも当てはまります。』という一文です。これまたサッカー以外のことにも当てはまると思います。
以前、日めくりの名言カレンダーでみた『ないものねだりしてるほどヒマじゃねえ。あるもんで最強の闘い方探ってくんだよ、一生な。』というのを思い出しました。表現は違えど、ここにも真実が含まれていると思います。
いろいろ頑張りたいと思って読み終えました。
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 才能の科学(2024.02.11)
- 海の見える病院(2024.02.03)
- 「きしむ政治と科学」「1100日間の葛藤」(2024.01.28)
- 自然、文化、そして不平等(2024.01.14)
- ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る(2023.11.12)
コメント