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君、美味しかったんだねぇ、、、

その日の夜は20年来の友人と久しぶりの食事をすることになっていた。
しばらく前から楽しみにしていたのだが、その日は朝から忙しかった。
午前の仕事をギリギリに終わらせて、電車を乗り継ぎバスに乗って大学へ。休む間も無く講義をやって、その後に研究打ち合わせ。
息つく間もなかったけれど、なんとかスケジュール通りに1日終了。
人参を鼻先にぶら下げられた馬みたいだったな。そう思いながら都内某所の焼き鳥屋で彼と待ち合わせる。
彼と仕事をしたのはもう20年以上前のことだ。つらかったけれど、なぜだかとても頑張れたような気がする。
思い出話に花が咲く。
冬のあの夜は僕たち二人にとって象徴的だった。
仕事が終わって職場を出ると大雪だった。吹雪のような横なぐりの雪なかを二人で歩いていった。その時、空には稲妻が光り、雷鳴がとどろいていた。
なんでこんなに辛いんだろうねぇ、なんて言いながら、それでも笑いながら帰ったような気がしている。
今から思うとどこか楽天的だったように感じる。
あの頃培われたものは今でも僕たちのベースになっている。先日、特殊なテーマを扱った学会の講演会をのぞいてみると、彼も出席していた。お知らせを見て、なんとなく興味を持ったのだという。確実に同じセンサーを共有している、そう感じた。
時が経つのは、若い頃に思っていたよりずっと早い。それでもまだ、自分たちにだって残された時間はあるのだろうと思う。思いたい。
その時間をどう使うのか。過去の経験を生かして、自分にもまだあると信じている「のびしろ」を現実のものとしたい。そう思った。
そういえば、この日、焼き鳥の間に出てきたシイタケは美味しかった。
君、美味しかったんだねぇ、、、思わずそうつぶやいてしまった。
シイタケは僕がこの世で最も嫌いな食べ物だった。少なくとも味覚に関しては「のびしろ」がまだありそうだ。
もちろん他に出てきた焼き鳥たちも期待通りの美味しさだった。
懐かしい会話と美味しい食事を堪能し、もっと頑張れそうな気がして店を後にした。

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