三種類のダイエット
外来診療などで時々話していることですが、、、、僕が思うに、ダイエットには大きく分けて三つの種類があると思います。
一つはアスリートのダイエットです。これは試合などに、試合などに焦点を当て、ここで最高のパフォーマンスを発揮できるように、食事や体重を含む体調管理をおこない、筋力などを増強するための負荷をかけていくものです。ここではストイックな食事管理と負荷の高い運動と分かちがたく結びついています。トータルの栄養バランスはややプラスに傾いているだろうと想像しています基本的にはパフォーマンス向上が目的なので、筋肉がつくことはあっても、体脂肪や余分な「お肉」がつくことはありません。でも、このダイエットで体重管理を一人でやっていくのは一般的には難しいと思います。
もう一つは一つは美容のためのダイエットです。このダイエットは、短期間に(できれば楽して)一定の体重減少を目指すものです。一年中話題となりますが、「夏に向けて」とか、季節などが動機になることが多いような気がします。多くの場合、とりあえず痩せればいいので、数少ない食品に依存するダイエットや、記録することで意識を高めようとするものなど、イロイロな手段が存在します。最近流行りなのは炭水化物を少なくするものでしょうか。これは腎臓や肝臓に障害のない方には良い方法かもしれません。
また、最近流行りの、ぽっちゃりお腹が引き締まった体に変身するコマーシャルのダイエットは上記二つを上手に組み合わせたもののような気がします。
そして最後が健康のためのダイエットです。こちらは上記二つとは大きく異なると、僕は考えています。なぜかというと、短期間のコントロールではなく、健康寿命を意識した、長期のコントロールを目指したものだからです。2ヶ月で何キロ痩せたとしても、それだけでその人の「命の長さ」が変わるわけではありません。体重を一つの目安として、食習慣、運動習慣を中心とした日常生活習慣を何年も続けて初めて違いが明らかになるという性質のものだと思います。ですから、「今年の夏に向けて」なんていうダイエットは、ここでは意味をなしません。
先日、肝臓病の栄養指導を積極的に行っている某大学のドクターと、管理栄養士の方にご講演いただきました。そちらの病院では、栄養指導を受けた群と受けなかった群で予後曲線を描いたら優位に栄養指導を受けた群での生存率が高くなった、なんていうデータも拝見しました。発表した先生自ら言っておられましたが、この結果をもとに「栄養指導が寿命を延ばしました」と結論付けることはできません。
それは様々なファクターが関与していると思われるからです。栄養指導をうけた患者さんがたは、もともと具合の良い人たちだった可能性もあります。栄養指導をうける患者さんは健康への意識が高く、栄養指導をうける以外のことをたくさんやっている可能性もあります。そのどれかが効果を上げているのであって、栄養指導はあまり関与していないのかもしれません。
でも、栄養指導のメリットも間違いなく存在します。食べ物には、体に良い食べ物と、体を害する食べ物があります。良いと思われる物でも過剰摂取は有害となることもあります。病気をお持ちのかたにとっては、必要な食品は、疾患によって異なることがあります。だから、テレビ、マスコミで流布されている様々な情報は、その患者さん個人には当てはまらないこともよくあります。
結果として、栄養管理をただ、「ちゃんと」やっているつもりでも、第三者、プロの目から評価をしたら不十分であったり、間違いであったり、ということも十分にあり得ます。また、自分一人で考えてやるよりも、プロの栄養士と相談し、語りあいながら栄養管理をおこなうことで、長期にわたる管理をしやすくなるだろうと思います。
ここまで書いて思いました。僕も栄養指導を受けてみようかしらん、、、。
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