アデナウアー
「アデナウアー - 現代ドイツを創った政治家 (中公新書)
」を読みました。僕がこの名前を知ったのは、大学生の時。知り合いに勧められて読んだ本に登場し、強烈なリーダーシップをとったことが書かれていました。それ以来、名前だけ記憶の片隅にあったのですが、たまたま書店で本書をみつけ、歴史の勉強もたまには悪くない、と思い読んでみることにしました。
アデナウアーという人がドイツの人達にとってどの位「ビッグ」なのかを示すエピソードが冒頭に描かれます。
2003年11月、ドイツで視聴者参加型ランキング番組が放送開始となりました。その第1回企画では「私たちのベスト」と題し、最も偉大なドイツ人を選んだそうです。
僕なら、ドイツ人で思い浮かぶのは、バッハ、ベートーベン、その他キラ星のごとくの音楽家達、ゲーテ、ヘッセといった文学者、ニーチェ、カント、マルクスと言った哲学者、ガウス、ケプラー、アインシュタイン、レントゲンと言った理系の人達、、、そんなところでしょうか。政治家として名前を知っているのはビスマルクは聞いたことがありますが、アデナウアーをまずはじめにあげる日本人は少ないと思います。
それだけ多くの「ベスト」が存在する中、ドイツ人は自分たちの「ベスト」としてアデナウアーを選んだのでした。
視聴者参加型ランキング番組は大変楽しいものです。多くの人が何を考えているのか、ワクワクしながらみることのできるバラエティ番組です。その結果を直ちに一般化することはできないでしょうが、「ベストの1人」とされていることに間違いはなさそうです。そして、本書を読むと、それに値する政治家であったことがよくわかります。
アデナウアーは第二次大戦後、西ドイツの初代首相となりました。
かつて、ドイツは「中欧の大国」としてふるまっていました。東西間を天秤にかけながら行き来したり、西欧を出し抜いてロシアと手を結んだり、中欧と東欧を勢力圏におさめようとしたりといった政策が、ドイツの外交の特徴とされていたそうです。これがアデナウアー以後、西欧を裏切らないドイツとなります。この「西側結合」「西側統合」と表現されるアデナウアー外交は、ドイツ外交の歴史における「革命」とも評される変化だとのこと。今はドイツは西側諸国のなくてはならない重要なメンバーですが、そうなったのは最近のことだったのですね。その道筋をつけたのがアデナウアーでした。
アデナウアーは同時に国際社会への復帰、経済復興も実現します。「過去の清算」については、その出発点を確実なものとします。
筆者は、「乱暴に言えば」とただし書きつきながら、アデナウアーの戦後の功績は、「吉田茂+鳩山一郎+岸信介+池田勇人」の役回りを全てになったものだと言います。すごすぎ。でも、読み進むと、さもありなんと思ってしまいます。
奇跡の老人と評されることもあるようです。
本書で見ると、本文217ページのうち、62ページまでで69歳になっています。首相に就任したのは1949年、73歳。1940から1950年代の70歳台って、相当な高齢者です。その後、引退したのは実に87歳だったというのですら、確かに「奇跡の老人」と言っていいですね。この意味では先の人名に加え、「+日野原重明」としてもいいかもしれません。
本書では、このアデナウアーによってドイツがどう変わったのかが、功罪まで含め、冷静に描かれます。
見習うべきところが沢山あると思いました。
最後に、日本人の「ベスト」は誰になるのだろう?と考えました。答えはありませんが、これを選ぶとき、その人の偉大さに加え、選ぶ人の意識も重要な要素になることに気づきました。
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