DDS学会雑感
DDS学会という学会に初めて参加してきました。
DDSというのはDrug Delivery Systemの頭文字をとったもので、「必要な薬物を必要な時間に必要な部位で作用させるためのシステム(工夫や技術)」(DDS学会HPより)のことを言います。このため、この学会では、医学、薬学、工学と言ったいろいろな分野の人達が集まって発表しています。「医学系」について言えば、基礎医学系の人達が多く参加しているように思いました。でも臨床系のさらなる貢献が望まれていることも事実のようです。
次年度は僕のオヤブンが会長をやる事になっています。オヤブンが主催し、僕が所属する教室はどっぷり臨床系です。それを意識してか、オヤブンが決めた来年のテーマは「DDSが変えた臨床の風景」となりました。僕はその事務局を担当する事になりました。そのため、今回の学会参加は学会運営などを中心に見学することが主目的です。
まずは宴会の偵察。学会が企画する宴会は「会長招宴」と「懇親会」です。
どちらの宴会も、恐らく僕が司会進行をやることになります。いまからドキドキしてしまいます。
特に会長招宴は僕たちの中で招待されているのはオヤブンのみ。当然ですが、実際の様子を見ることはできません。会場の様子、受付の様子だけ事前に見学させてもらって、僕たちはそのまま寂しく帰宅しました。宴会のメニューや式次第はオヤブンにメモしてもらいました。出し物など、イロイロな工夫がされていました。しゃれたアイデアが織り込まれています。
そして学会中日の懇親会。これは僕も参加できます。これまた会場の様子、メニュー、式次第、参加人数などをチェックしました。
いずれの宴会も、過去の学会で印象深かったものが未だに語り継がれていようです。東京ドームホテルで開催したときのチョコレートフォンデュは大人気だったとか。地方のどこそこではどうだったとか、、、。
来年、僕たちに何か良いアイデアは生まれるのだろうか。うーん。お金がないことだけは間違いありません。今から頭が痛いです。まぁ、悩み続けるしかなさそうです。
この他、学会ではどのようなセッションがあり(これはプログラムを見ればわかりますが)、それぞれのセッションには何人くらいの聴衆が集まっているか。
実際に会場はいくつ必要か。会場の広さはどの位が適当か。
学会運営の多くの部分は企業(いわゆる学会屋さん)にお願いするのだけれど、それ以外に大学からどの位の人員が動員されているか。
優秀演題を選定するための審査はどのように行われているか。
などなどを見て回りました。企業展示、ランチョンセミナーは全て挨拶回りをして名刺交換をしました。来年も多くの企業に参加をお願いしたいと思います。そのためにも、参加いただく各企業にもメリットがあるような工夫もしたいと考えています。
DDS学会は、1000人ちょっとの学会員数です。消化器病学会の30000人なんて言う規模から較べれば小さい学会です。でも、その1000人ちょっとの学会で、来場者数初日だけで800人でした。非会員も多く参加されているとのことだったのですが、学会規模からすると、とても盛況だったと言えると思います。
学会後、プログラム実行委員会が催され、来年のプログラムについて話し合いをしました。プログラム実行委員の先生がたが大変協力的で、イロイロなアイデアを出していただけることに加えて実務能力が高いので大変心強いです。今回の会議で大分形が見えてきました。毎年の伝統を継承しつつ「医学系」「臨床系」の色が出せそうに思います。
今回、初めてこの学会に参加して二つ、印象に残ったことがありました。
1つは、学会の重鎮の先生が会長招宴で言っておられた言葉です。上述のように僕は会長招宴に参加していませんが、特別講演で招聘された先生が、懇親会で紹介してくださいました。
「昔は専門バカというのは褒め言葉だった。しかし今は専門バカはただのバカだ。」
まぁ、確かに。そういう見方もできるでしょう。バカと言われるほど1つのことに没入できるのは立派なものだと思います。でも視野を広げることも同時に大切だな、と思いました。この学会が医学、薬学、工学の幅広い分野の知識の結集を目指していると言うことがよくわかりました。
そしてもう1つ。
若手の奨励賞の発表は張り紙によってなされていました。それを確認していた時、そばに賞に選ばれた大学院生(らしき若者)がいました。
彼はその張り紙に自分の名前があることを確認し、「よっしゃぁ。」とつぶやき、喜びのガッツポーズを小さくつくっていた。その姿がとても純粋に見えて印象的でした。
その想いに答えられるような学会運営をしたいと思ったのでした。
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