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第6回研修医Advanced OSCE大会

先週末に藤田保健衛生大学で開催されました第6回研修医Advanced OSCE大会に参加してきました。

OSCEというのは、Objective Structured Clinical Examinationの略で、通常「オスキー」と呼ばれるタイプの評価方法です。日本語に直訳すると、客観的体系的臨床能力試験とでもなるのでしょうか。様々なシナリオをもとに医療面接を行ったり、身体診察を行ったりして臨床能力を評価しようとするものです。

現在、医学部の学生は、このOSCEに合格することが、臨床実習で患者さんの前に立つための条件の一つとされています。

今回はそれのadvancedバージョンで、全国から集まった26人の研修医の皆さんを対象に行われました。彼らを「評価」するために、45人の指導医を含め、模擬患者さん、事務の方、看護師さんなど、総勢100人をこえる人的資源を投入して行われました。(全国に研修医が一学年7000人もいることを考えると、なかなか大変なことです。これは別の議論としてここではおいておきます。)

課題は学生対象のものより高度です。評価は医療面接から身体診察、心電図、腰椎穿刺、さらには後輩研修医を指導する技術にまで及び、二日にわたって行われました。

以前、ある指導医講習会で、研修医OSCEについて
「リアルでないので、『リアル』を知った研修医たちにとってはモチベーションがわかない」
というコメントを聞いたことがありました。

でも、今回、研修医OSCE大会に参加して、僕はちょっと違う意見を持ちました。

OSCEは臨床の現場と異なるのは当然です。シミュレータを使ったり、模擬患者さんにお世話になったりすることをはじめとして、様々な点が異なります。でも、臨床の現場の一部を切り取ったものであることも事実です。

似顔絵は、そのまま描いても「そっくり」にはならないと言います。その人の特徴的な部分、印象的な部分を強調してデフォルメすることで「そっくり」になると言います。デフォルメされた似顔絵がなぜそっくりと感じられるのかといえば、それは鑑賞者の想像力が刺激されるからだと思います。「そっくり」と感じるためには、鑑賞する側にも想像力が要求されているのです。

同様のことがOSCEにも言えると思います。

臨床の現場とは確かに異なります。けれどもその現場の何処か一部を確実に切り取ってきてできているものです。場合によってはつぎはぎもあるかもしれません。いずれにせよ、部分的にはリアルな要素が含まれています。シナリオを作られた先生方の解説を聞いて、様々な思いを込めて課題作成にあたられたのだということがよくわかりました。

それぞれのシナリオにこめられたメッセージを汲み取って、活かしていけるかどうかは、各人の想像力に依存するところが大きいと思います。実臨床を経験しているからこそ、想像力を働かせて『リアル』を感じ取れるのではないかと思います。
研修医の皆さんは、実臨床とは異なる雰囲気の中、緊張、戸惑いもあっただろうと想像します。それでも真摯に課題に向き合う姿には、大変印象的でした。皆さん、きっと何かを感じたことでしょう。僕自身も、自分の背筋が自然にまっすぐにたっていくような気がしました。

指導医の方々も、単に評価者として参加するだけでなく、患者役、出来の悪い後輩研修医役などの役回りをアドリブまじりで熱く演技していました。そして評価のあとには研修医の皆さんに様々なフィードバックをしていました。

点数をつけることが目的ではないのです。それを通して何を得るかが大切なのだと思います。「何かを得たい」「何かを得て帰ってもらいたい」そう言う共通意識を持った参加者全員の一生懸命な雰囲気がこの研修医OSCE大会全体を大きく盛り上げていたように感じました。

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