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周回遅れも甚だしい読書

流行からは相当遅れてますが、半沢直樹のシリーズ二冊「オレたちバブル入行組 (文春文庫) 」「オレたち花のバブル組 (文春文庫) 」を読みました。

例によって息子から勧められて。

とてもおもしろく、引き込まれるスリリングなストーリー展開で痛快さも随所に織り込まれており、忙しい仕事も忘れ、思わず読み続けてしまいました。出勤時のバスではあやうく乗り過ごすところでした。

いつもの逃避行動と言ってしまえばそれまでですが、ここに出てくる「銀行らしい話」の数々もリアリティを感じながら読むことができたことも、のめり込んでしまった大きな理由だと思います。

リアリティを感じられた理由は、僕が半沢直樹とほぼ同年代であるためです。僕の友人達も、バブルのおわりころに大学を卒業しました。このため、本書に出てくるのと同様の話を、銀行に就職した友人などから聞いたことがあったのです。

また、国税局の査察や、金融庁の検査などは、病院が機能評価を受けるときなどの状況にどこか似ています。

「どこの業界にも似たようなことがあるのだなぁ」と思い、

『銀行はもはや特別な組織ではなく、儲からなければ当然のように潰れるフツーの会社になった。』(オレたちバブル入行組)

という一文を読んで、イロイロな業種で同様の変化が起こっているのかもしれないと思いました。医療業界もまた、「フツーの業界」になりつつあるのだと思います。

小説としてみれば、二冊とも、勧善懲悪的な内容で、最後には半沢直樹(正義)が勝つのだと信じて読めます。だから、なおのこと安心してスリルを楽しめます。加えて、善人に分類された登場人物はツラくてもそれなりに報われていきます。そこには筆者の人情を垣間みるような気持ちになりながら読んみました。

一方、違和感を感じるところもありました。

悪人に分類された登場人物は完膚なきまでに叩きのめされます。ここまでやるのか?これでいいのか?と思うほどです。

「基本は性善説。だがやられたら倍返し。」

の流行りセリフに対して、僕は痛快というよりも、痛みの方をより強く感じてしまいました。そして同時に、僕の好きな小説では「倍返し」をしていなかったことを思い出しました。

それはジェフリー・アーチャー著の「百万ドルをとり返せ! (新潮文庫) 」です。

詐欺師のハーヴェイ・メトカーフに計100万ドルをだまし取られた被害者4人が結託し、金を取り戻そうとする話です。原題は「NOT A PENNY MORE, NOT A PENNY LESS」。被害者4人のリーダー格、スティーブンはオックスフォード大学の数学教授で「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく」と言って、それを実現します。まぁ、100万ドルの一番最後は帳尻合わせ的な感じがないではないし、こちらは詐欺ものなので、最初から小説のジャンルも違います。だから、そのまま較べるものではないかもしれませんが、ぴったり「1倍返し」というところにイギリス紳士の上品さを感じます。

この本を呼んでからしばらくの間、ハーヴェイ・メトカーフが何かにつけて飲むシャンパン「KRUG」に憧れたものでした。(今でも手の届かない、憧れのお酒ですが。)

半沢直樹はスティーブンと全然違います。一倍返しどころではありません。倍返しです。加えて、悪人と取引をして自らの出世に利用したりするほどです。一方で、悪人たちも、彼らの家族を含めたプライバシーや感情も描写されます。これが、叩きのめされる悪人の姿にリアルさを付け加えます。

勧善懲悪的な物語でありながら、人はそんなに単純明快ではないのだよ、と筆者が言っているかのように思いました。

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