_

関連

無料ブログはココログ

« ピュア | トップページ | 学会後、男三人飯 »

たがやす

もう8年も前になるけれど、僕が今の職場に就職した当時はずっと行われずにきたらしい。



何がって?

論文の抄読会が。

興味ある論文をお互いに紹介してみんなで情報共有する勉強会。



それがなかった。

自分としては



「それではいけないんじゃないか、、、」



そう思った。抄読会では、情報以外にも

得られるものがたくさんある。

特に発表者には。

僕がそれまで所属した研究室、病院、ほぼ全てで抄読会は開催されていた。米国にいた時は Journal Club と呼ばれていた。

いろいろなスタイルがあったけれど、必ずあった。

でも、今の職場にはなかった。

Meetingはあった。Conferenceもあった。Journal Clubはなかった。



不思議なもので、やらされていた時は、イヤでイヤで仕方がなかったのに、なくなると不安で不安で仕方がなくなった。

ただ、

「やろうよ」

と声をかけても、当時、首を縦に振ってくれる人はいなかった。



「みんな忙しいからなぁ。」



とか



「続いたことないもんね。」



という返事だった。



学会とかに行って話を聞いてくれば同様の情報を得ることができる。普段の会話でも情報交換はできる。それでイイじゃないか。



そういう文化だったのだと思う。

そこに不安はない。そりゃそうだ。だって今までやらずにやれて来たんだから。そしたらそんなめんどくさいことを、あえて始めようなんて誰も思わない。



でも僕には抄読会が必要だと思った。理由はそういう「場」がないと勉強しなくなる自分が不安だったから。

自分のいる環境は、抄読会が普通にある文化であってほしかった。自分が安心できるためには、文化(culture)を変えることが必要だと思った。そのためには、畑を耕すこと(cultivate)が必要だ。

だから自分で勝手に耕すことにした。Conferenceの日に毎週英語論文をさがしてきて紹介するのだ。

毎週一人抄読会。



ただ、論文を毎週探して、全文読んで発表用にまとめるのはさすがに大変だ。そこで、抄録だけ全訳してみんなに紹介することにした。



それでも、結局のところ発表者は僕1人だ。僕がやる気をなくしてしまえばその時点で終わってしまう。そこで、自分のモチベーションを少しでもあげようと、名前をつけることを考えた。



JCLGM (Journal Club on Liver Group Meeting)



おぉ、なんかカッコいい気がする。完全に自己満足だけど、気に入ったぞ。



最初の頃は基礎医学系と臨床医学系と毎週二本ずつ紹介していた。

でもそのうち、週一本になってしまった。

それでも時間が足りない週もあった。少ない時は月に一回ということもあったと思う。



それでも続ける事が大切だと思ってやってきた。

今年の夏休み前にはついに150回を超えた。今では僕以外の人にとっても、Journal Clubがあることは普通になった気がする。

準備ができずにスルーした週には、

「今日はないんですか?」

そういわれることもあった。

いろいろ紆余曲折があったけれど、150回のうち殆ど全て、僕1人でやって来た。

それだけやれば達成感とかなにか、感慨にふける瞬間があるかと思ったけれど、そんなものはどこにもなかった。ただ1人、淡々と回数を重ねるだけだった。



夏が過ぎ、朝夕が涼しくなって来た。



今年もだんだん先が見えて来たな。秋は学会シーズンだし、授業もあるし、忙しいぞ。あっという間に過ぎてしまいそうだな、、、。



そんな事を思っていたら、スタッフの1人から一本のメールが届いた。以下そのコピペ。




『Journal Club (JC) におきましては、毎回興味深い論文を御紹介頂き有難うございます。
 (中略)
 次回開催される際には添付した論文を紹介させて頂こうと思います。
 何卒よろしくお願い致します。』



Journal Clubが本当の「文化」になり始めている。そう感じた。勘違いかもしれないけれど。でも、わかったことがある。

期待していたのは回数ではなかった。こういう日が来ることだった。

嬉しくなると気がはやる。妄想が膨らむ。



次の目標はこういう人が何人も出て、毎週自主的に論文が紹介されていくこと。毎週やる人がいてもいい。数ヶ月に1回の人がいてもいい。論文が二本紹介される日があってもいい。たまには良い論文が見つからなくて、休みになっても良いじゃないか。



最終目標は、抄録ではなく、全文を、毎週誰かが自主的に紹介するようになること。

そんな「文化」が僕の理想。夢。

全文紹介の抄読会は3年ほど前から大学院生を相手にして別に開催している。順番を決めて持ち回りでやっているけれど、参加者が少ないので、正直、ちと苦しい。

まぁ、気長に行こうと思う。まずは、今を続けることが大切なのだ。続けてきたから今がある。続けるから先がある。



理想を言えばきりがないけれど、初めて、ちょっとだけ、土を耕したような気がした。

« ピュア | トップページ | 学会後、男三人飯 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: たがやす:

« ピュア | トップページ | 学会後、男三人飯 »