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腫瘍倍加時間(ダブリングタイム:Tumor Doubling Time)計算機

腫瘍倍加時間 (Tumor doubling tIme) は腫瘍が倍の大きさになる為に必要な時間です。これについての僕の思い入れは以前に書きました。(こちら

腫瘍のほとんどが腫瘍細胞からなっていると仮定すれば、腫瘍の体積は腫瘍の細胞数に比例するはずです。

腫瘍マーカーと呼ばれる血液検査があります。この腫瘍マーカーが腫瘍細胞によって産生され、腫瘍細胞一個あたりの腫瘍マーカー産生量が一定であると仮定すれば、腫瘍マーカーの値も腫瘍の細胞数に比例するはずです。

こんなことから、腫瘍の体積が倍になるまでの時間、腫瘍マーカーが倍になるまでの時間を測定することによって、腫瘍細胞の「増殖能」を評価することが可能になるはずです。

腫瘍のサイズにせよ、腫瘍マーカーにせよ、ワンポイントの測定値よりも、そこに時間のファクターを加え、どの位のスピードで成長してきたのかを知ることが、その患者さんのこれからの病状進展を予測するのに役立つのではないかと僕は思います。

このような解析方法は以下のような問題を考えると有用性がより明らかになると思います。

(どちらかというと純粋な算数に近いお話です。実際の臨床的な場面ではこの他に様々なファクターが関与しますので、ここではひとつのモデルとして考えます。)

A) 1月1日に50だった腫瘍マーカーが2月19日に130になりました。

B) 1月15日に28だった腫瘍マーカーが2月12日に68になりました。

C) 1月7日に18だった腫瘍マーカーが2月15日にに40になりました。

腫瘍マーカーの値が細胞数と正比例するとしたとき、A)B)C)のなかで、腫瘍の増殖速度が最も速いのはどれか?
そのまま増殖を続けた時、4月1日に腫瘍マーカーが最も高値を示すのはどれか?

いずれの場合も1ヶ月前後の間に2倍強に増えています。目で見ただけで判断するのは難しいと思います。少なくとも僕には判断できません。

このような予測や評価は、ダブリングタイム(倍加時間)の考えを導入することで容易になります。

ダブリングタイムで比較をすると、A)は35.5日、B)は21.9日、C)は33.9日になります。

このままのスピードで腫瘍が増殖すると4月1日時点での腫瘍マーカーは

A) 289.2、B) 311.6、C) 100.5

となり、B)はA)を追い抜いて一番高い値となってしまいます。

また、この間に治療介入がなされている場合、治療が少しでも有効であれば腫瘍マーカーはこの予測値を下回る事になります。今後の予測だけでなく、治療が「少しは効いているかも知れない、、、、」という時にこの予測値と比較することで、より客観的な判断がしやすくなると思います。

ただ一つ、問題があります。この腫瘍倍加時間の計算には指数関数、対数関数が必要になることです。手計算ではムリです。コンピュータがあれば良いですが、外来診療中なんてことになれば、もう全く不可能。

診療が終わってからデータを持ち帰り、デスクでシコシコと計算するしかありません。有用だと思ってもなかなか大変です、、、。

ましてや、このダブリングタイムの考え方が提案されたのは「計算尺」を使っていたような時代です。ダブリングタイムが一般に広まらなかったのはこの辺に原因があるのではないか、、、そう思っていたところ、強い身方が現れました。

iPhone。

日付と値だけ入力すれば計算できるようなアプリがあれば良いではないですか、、、。

そんなことをブツブツつぶやいていたら、作っていただけるという話になりました。

出来上がったのがDT計算機というアプリです。

腫瘍容積のダブリングタイムのみが計算できるFree版と、腫瘍マーカー1個だけ計算できるLite版、複数のマーカーを検討したり、結果をメールで転送できたりするFull版を作って下さいました。

会社のお仕事ですから、全て無料と言うわけにはいきません。けれども、命に関わる病気に関するアプリだから、ということで、広告表示はしないことにしていただきました。

せっかくですから多くの人のお役に立てれば嬉しいです。

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