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イカの神経 ヒトの脳みそ

イカの神経 ヒトの脳みそ (新潮新書) 」を読みました。

神経にまつわる研究を歴史とともにひもといた本です。筆者はまえがきで、脳の話を専門外の人が理解するのが難しい理由を下記のように説明しています。

用語がわかりづらく、もともと複雑な話なのに、最初から高度な最新情報にアクセスしてしまうからだと。

本書ではその辺が意識されているためでしょう。研究業績だけを並べるのでなく、歴史、人物、研究背景のストーリー等に重きを置いて語られていきます。

それにしても、神経領域の研究って、昔からすごいんですねぇ。キラ星のごとき登場人物が次から次へと登場します。登場人物が次から次へとノーベル賞をとっていきます。

本書には、ざっと数えただけで17人のノーベル賞受賞者の名前が登場します。

まぁ、ノーベル賞が「すべて」ではないと思います。でも、一つの領域の進歩を語る時、多くのノーベル賞受賞業績が関わってきたということは、多くの人が注目し、重要であると考えられてきたということのあらわれでもあると思います。

前半はカエル、イカ、アメフラシ、ネズミ、ネコの神経、脳をつかった基礎研究の話です。この前半では筆者の経歴とかぶるところもあり、研究者の顔が見えるような背景物語とともに語られます。この物語と一緒に該当する部分の神経生理学の教科書で勉強してみると、面白さが増すのかもしれないとちょっと思いました。

後半は人の脳の話。

印象が深かったのは精神外科手術の話でした。

今、精神疾患を治療するために脳にメスを入れることはない(はず)です。けれども、これも、ノーベル賞を授与された業績なんですね。

そしてかつて、精神疾患を治療するため、さかんに手術が行われたことがありました。そう昔の話ではありません。ロボトミーという言葉は僕も子供の頃に聞いたことがありました。1970年代まではなされていたとのこと。

手術リスクの高さ、治療効果のあいまいさなどに加え、精神疾患を煩う人が周囲の都合で手術されることも多かったようで、様々な点で大きな問題があります。

1980年代後半には脳移植手術が行われたそうです。これも厳密な追試の結果はほとんど無効で、現在は行われていないとのこと。

暗い話です。「進歩の過程ではこう言うこともある」と安易にのべることははばかられます。ただ、そういう歴史があったことは認識しておくべきと思いました。

明るい話もあります。セロトニン選択性再取り込み阻害剤(SSRI)の開発や、神経成長因子の発見でした。

再生しないと思われていた脳神経が再生するための条件が少しずつ明らかになっています。

脳神経にも分裂増殖する神経幹細胞が存在することが20世紀末に証明されました。

まだまだ基礎的な話が多いですが、神経領域の研究の進歩が実臨床につながり、恩恵に浴する患者さんが増えているのも間違いのないところかと思います。

「神経」は学生時代、本当に苦手で、「神経内科学」なんて言葉を聞いただけで後ずさりしてしまうほどでしたが、ちょっとだけ親しみを持つことができたような来します。

四半世紀ほど遅すぎた感がありますが、、、、。

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