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6.患者さんの死から学ぶ 5

胃がんの肝転移で入院された81歳のHさんは、長い間アメリカで生活をされていた。入院後病名に関する質問はされなかったが、今まで生きてきた人生に満足していること、この病気から解放されたとしても、これまで以上の人生を送ることはできないと、積極的な治療を婉曲に拒否された。

 家族にとっては、大切な誇りとするおじいさんだった。その強い要望により制がん剤療法が行われた。結局治療は効果なしと判定された。今振り返ると、患者さん本人の基本的人権を無視した医療行為ではなかったかと反省させられる。

 その後、高校生の時の担任の川野辺正直先生が何かの折りに「日一日を大切に生き、成長の極に死を迎えることができればすばらしい」と目を輝かせて語られたことを思い出し、Hさんは私にとっては忘れられない存在となった。

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