期待は自己実現する
僕は経済について、知識らしい知識を持ち合わせていません。
僕が生業としている医療というのは、資本主義の中にある社会主義みたいなもので、少なくとも短期的には、社会の経済状況と僕たちの仕事がリンクすることはあまりありません。株価が上がっても下がっても、医療の内容が変わるわけではありません。
経済が良くても悪くても患者さんは病院を訪れます。国民皆保険制度のおかげで、大抵の場合は患者さんの社会的環境などによって治療方針をかえるなんてことは、まず、せずにすみます。勤務医なら、基本的には病気のことだけを考えればよいという、大変恵まれた状況です。
おかげで僕みたいなノロマでも経済に汲汲とすることなく、生きていくことができます。有り難いことです。
そんな僕でも、ニュースは見ています。経済ニュースも見ます。「ワールドビジネスサテライト」なんて番組を見ることだってあるんだぞ。スポーツニュースまでだったりするけれど、、、。
で、先日、その「ワールドビジネスサテライト」を見たら、竹中平蔵氏が出演されていました。いかに無知な僕でも、この方のお顔、お名前はさすがに存じ上げております。
「おっ?」と思って見始めました。
お話上手ですねぇ。僕でも理解できたような気がします。その竹中氏、番組中で(言葉そのものは正確ではありませんが)こんな事をおっしゃっていました。
「経済において、期待は自己実現する。その効果を過小評価してはいけない。」
昨年の総選挙の時から続く円安株高傾向は、実態経済の改善を伴ったものではないという点についてのコメントです。
先々経済が良くなるとしても、期待の程度が小さければ、その程度にしか投資をしないので、見返りもそれなりになってしまう。
一方で、最初に大きな期待を持つ事ができれば、根拠が薄弱でも投資がなされ、歯車がまわり始めて良い循環が生まれうる。
そんなお話でした。
もちろん、期待だけで全てがうまくいくなんて、世の中、そんなに甘くありません。他に必要な要素についてもイロイロと指摘されていました。
ただ、経済に暗い僕に強い印象を残したのは、竹中氏が強調していた「期待の効果を過小評価してはいけない。」ということでした。
なるほどぉ、、、と思いました。これは経済だけの話じゃないな、と。
僕の頭に浮かんできたのは、スーパーマンで知られる俳優のクリストファー・リーブ氏でした。僕の頭はすぐ、経済から離れていっちゃうんです。
リーブ氏は、こんな言葉をのこしています。
「I refuse to allow a disability to determine how I live my life. I don't mean to be reckless, but setting a goal that seems a bit daunting actually is very helpful toward recovery.」
この言葉の拙訳は以前「こちら」に書きました。
彼のリハビリも、最初は根拠のないものだったでしょう。何しろ前例は全くなく、不可能と信じられていたのですから。
彼が常識を覆す回復をみせた根底には、自分への期待を持ち続けられたことがあったのだろうと思います。
「期待は自己実現する。」
僕もそう思いたいです。
最大の問題は、自分の何に期待するか、なんですが、、、。
« 「僕の死に方」 | トップページ | 腫瘍倍加時間(Tumor Doubling Time)の伝説 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 青春時代(2024.01.20)
- 早くも1週間(2024.01.08)
- 謹賀新年(2024.01.01)
- 気がついたらもう6月(2023.06.01)
- 新年 明けまして おめでとうございます(2023.01.01)
コメント