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6.患者さんの死から学ぶ 3

食品会社の会長のHさんは喉頭がんと肝臓がんの手術を受けた。結局肝臓がんの再発のために末期を迎えることになった。肝臓がんの診断に関与したのは私で、手術が最良の治療であろうと外科に紹介した。手術は成功し仕事に復帰することができたが、結局再発し、終末期には再び私が主治医となった。病室の関係で、他の病院に入院しながら空きベッド待ちをされた。国立がんセンターに転入院されて間もなく私は病室に呼ばれ、「長い間お世話になりました」と最後の挨拶を受けた。入院後の病状の説明前であった。Hさんは、自分の経験から死期が近づきつつあることを確信しておられる様子であった。その後、親族や会社の関係者を病室に呼び、合掌しながら一人一人にお礼の言葉を述べられたという。お孫さんに囲まれた76歳、静かな死であった。

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