3足のわらじ
先日、長男の中学受験の模擬試験がありました。
会場は某私立中学校。臨場感をもって試験を受けることができる、塾と学校からの説明会もある、などの理由から比較的人気があるようです。
子どもたちが試験を受けている間、父兄は、解放していただいた体育館兼講堂で待つことができます。そしてその間に進学説明会がありました。進学塾からの今年度の入試動向についての説明や、会場を提供された学校からの説明などがあります。
まずは塾からの進学説明。
「皆様もう何度もお聞きの事かと思いますが、、、」という枕詞がつきます。僕、初めて。早くも「出遅れ感」が漂います。今年の模擬試験からの志望者数から判断した今年の受験動向が中心です。他の塾の受験者動向も加味しながら一つ一つの学校を取り上げて解説をしていただきました。
今年はここが人気らしい、あそこの人気が下がっているらしい、、、いやいや、大変だわ。他人事ではないのですが、そんなにいくつもの学校を受けるわけではないし、あまり沢山の学校が出てくるので、途中から他人の話を聞いているような気持ちになってしまいました。
「いかんいかん、、、」と思いながら聞くのですが、「各中学校の入学試験担当者の方々も大変だろうなぁ、、」なんてやっぱり半分他人事のようにして聞いてしまいます。
いや、でも気づいてみれば、この観点からも他人事ではありません。僕は教員の仕事もしてますから、、、。あらためて「いかんいかん、、、」と気を引き締めます。
その後、その大変な当事者からのお話が始まりました。会場を提供していただいた私立中学校の先生方です。
私立中学校の説明会は、今年、いくつか出席させていただきました。どこの学校の先生も本当に一生懸命です。
どこの学校にいっても、毎回、それぞれ異なったインパクトを受けて帰ってきます。良い意味で。
どこの学校に行っても、熱意を感じます。
そこで感じる熱意は、恐らく、「良い学生を獲得したい」というだけのものではありません。
伝統の自信にあふれる学校。落ち着いた精神性を強調する学校。校舎の建替え中で、新しい校舎の設計にどういう夢がこめられているかを語る学校もありました。当然、進学実績を熱く語る学校もあります。
いかにして学生達を「のばすか」そのために必要なことはなにか、プラスαにはどんな選択肢があるのか、学校として何ができるのか、などを熱く語ります。
その日の学校もそうでした。
広報担当の先生は父兄からうけることの多い質問に真摯に答えておられました。当たり障りのない返事ではなく、時には具体的に学生の名前を挙げて実例を豊富に示しながらの説明です。説得力があります。
そのなかに、「やればできるぜ。」と思った学生がある学年に出たとたん、数年のうちにそれが数十名に広がり、学校全体の雰囲気が変わっていった話がありました。これはなかなかにリアルなものでした。
そう。きっかけは何だっていいですよね。勘違いだって。チャレンジすることがまずは大切で、それが失敗に終わったって、それを次の糧にすればいいんですから。
その前に話をされた校長先生も、本当に熱い語り口でした。
「うちは本当に売りがない学校なんです。運動だって、進学だって、もっとスゴい学校はいっぱいあります。でも私たちは6年かけてご子息を育てます。私も子供二人を私学に通わせました。一人の親として、他と遜色ない学校だと思っています。」
この言葉には大変な説得力がありました。それだけの、様々な努力、試み、実績をお話いただきました。
熱意が伝わったためだと思います。いくつかあった話の中で、唯一、会場の父兄から自然発生的に拍手が沸きました。良いお話を聞かせていただきました。
受験生の親として自分を振り返ると、子供にあまりエラそうな事は言えません。実は。僕自身は、中学受験、高校受験、いずれも第一志望に失敗し、大学受験は浪人を経験しています。星取り表で言えば圧倒的に負け越しです。
でも、学生生活は楽しかったし、受験では知識以外に「頑張る」ということ、「自分の能力を活かすにはどうしたら良いか」といったことについて学ぶことが多かったように思います。
ですから、子供には失敗してもいいから頑張ってほしいと思っています。そしてそこから勉強以外のものを学んでほしいと思っています。
一方で、教員としての自分についても考えさせられました。
これから僕たちの大学でも入学試験を迎えます。「良い学生を獲得したい」という願いはいずこも同じでしょう。
でもそれだけではなく、父兄から拍手をもらったあの校長先生のように、熱く真摯に学生さんたちと向き合うこと。そして、「やればできるぜ。」と思わせること。そういうカルチャーを作っていく不断の努力が必要なのだと改めて思わされました。
教員のほかに、医者と研究者という、計3足のわらじを履いているからといって、それを言い訳にしてはいけないと、改めて自戒した次第です。
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