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「物語論」を読みました。

物語論 (講談社現代新書) を読みました。

「はじめに」のはじめに書かれていますが、本書は、小説、漫画、美術、映画、音楽、、、といった様々な分野で活躍している人たちのインタビューを集めて出来上がったものです。

個々のインタビューは、本書の作成を念頭においたものではありません。なので、インタビューの長さも違いますし、職業もかたよっています。

小説家7人、漫画家4人で、全体の多くを占めます。この他は具体的には、映画監督、現代美術家、バイオリニスト、音楽プロデューサー、ウェブデザイナー、雑誌編集者などで、小説家と漫画家へのインタビューが多くを占めています。

文体は基本的に独白のような形でインタビュアーの言葉は殆ど入っていませんが、最後の伊坂幸太郎氏の文章はインタビュー形式で語られています。

職業が様々ですから、内容も比較的様々です。

そんな感じで最初に読んだ時はとても雑多な、まとまりのない印象でした。

共通しているのは皆、何かを創りだし、出来上がったものを評価される側に立つ人々であることです。

ただ、読み終わってからいくつか気になることを思い出してみると、ちょっと面白いことが見えました。

同じ職業でも見方が違うものがあるようです。

例えば、漫画における「戦い」について。

「やっぱり、戦いって常にあるもので、否定したらいけないんだろうなぁとは思います。」荒木飛呂彦/漫画家

「「戦いを描く」という手法については、、、、バトルは、漫画を最もおもしろくしてくれる要素なんです。バトルこそがドラマをつくってくれる。」かわぐちかいじ/漫画家

という漫画家がいる一方で、

「連載前に決めていたのが「敵と戦わない」「大きな事件は起こさない」という設定でした。」うえやまとち/漫画家

なんていうスタンスの人もいます。

表現しようとするものの違い、表現手法の違いなのでしょう。当たり前、と言ってしまえばそれまでですが、漫画によるストーリーテリングの中における位置づけかたの違いが見て取れます。当然、それぞれの漫画家の持論も異なっているわけで、なかなか興味深いと思います。

一方、分かりやすさ、について、漫画的にわかりやすいものと、小説的にわかりやすいものがあるようで、漫画家、小説家それぞれに意識しているようです。

「やはり漫画の良さって「読みやすさ」「わかりやすさ」なんですよ。漫画って、映画とは違ってたくさんの動きは見せられない。BGMを効果的に使うこともできない。小説ほど多くの言葉だって使えない。製薬だらけです。ただ、漫画には、たとえば電車の中でもいつでもとこでもスッと開いたらすぐにその世界に入り込める「圧倒的な敷居の低さ」という他にない武器があるんです。その「わかりやすさ」のためには、セリフは削りに削って骨子だけにとどめる、ムダなセリフは捨てる、というのを心がけています。」弘兼憲史/漫画家

まさにその辺を、小説家も認識していました。

「「今日、勇気を失った」と小説で書いたら、読者は何となくですけどあるイメージを浮かべることができますよね。でも、漫画で勇気を失った表現をするためには、場面を視覚で見せたりけっこうたいへんになるんです。」伊坂幸太郎/小説家

また表現者としては皆、伝えることと評価されることへのこだわりがあるようです。

「小説に対してそこまで世界観の構築を求めるのは、私にとっての文学者の定義が、まずは「世界観を問う存在」だからです。」島田雅彦/小説家

「そもそも明確な主張がなければ言葉になりません。また、主張できたとしても、私はこれがやりたいのだという焦点がぶれていれば、私の音楽に対する考え方が伝わるはずもないんです。」諏訪内晶子/バイオリニスト

「だって「俺なんて、、、」と思っている奴の演奏を聴きたい人なんていませんから。「聴いてほしい!」という真剣な思いがなければ音楽は伝わりません。」根岸孝旨/音楽プロデューサー

「批評を正当な評価だと思ってしまったら芸術は終わりなんじゃないのかな。」杉本博司/現代美術家

微妙にずれながらシンクロしているようにも感じます。

それぞれのインタビューを縦糸とすれば、これらのコメントの相互関係は横糸に相当するものでしょう。

読み終えたあと、全体を俯瞰して横糸をさがし、見つけ出す、というような作業をすると面白みが増すような気がします。

ただ、最初に書いた通り、この横糸は意図的に仕組まれたものではないので、予定調和はありません。どこでどのような横糸が表れるかもわかりません。さがせば他にもっと横糸が見つかることでしょう。

僕は読み終わってから、自分で付箋を付けてさがしました。

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