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『チェンジングブルー』を大変興味深く読みました。お勧めです。

チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る 』を大変興味深く読みました。

少し歯ごたえがありますが、若い人たちに勧めたい、なんて思ってしまいました。

年をとったなぁ、、、なんて同時に思いつつ。

高校生くらいの知識があれば読めるでしょう。こういう本を読む人が増えると、理科離れにもちょっとは歯止めがかかるんじゃないでしょうか。

地球温暖化が叫ばれています。誰もが叫んでいます。

でも、僕が小さかった頃、『これから氷河期が来る!』なんていう特集を、学研の雑誌だか、小学館の雑誌だかで見たことがあるような記憶があります。うっすらとですが。

確か、雑誌には、都市(恐らく東京)が極北の地域のようになっている未来予想図が描かれていました。

今、そのような話は全く聞かれません。

あの時の記事は全く間違いだったのでしょうか、、、。

気候変動をみると、確かにあの時期約30年ほどにわたって、世界的に気温が低下傾向を示していたことが示されます。そこだけを見れば必ずしも間違いとは言い切れないようにも思います。

でも気候はその様には変化しませんでした。

その後、現在に至るまで、非常に短期間に気温が異常に上昇しつつあります。

過去を調べてみれば、地球の気候の変動が急に起こるのは今回が初めてではありません。温暖な時期と寒冷な時期を行ったり来たりしてきました。他にも大きな変化が何度もありました。

そんなことがどうやってわかったのか。そして、そういった気候変動がどのようにして起こるのか、本書ではそのメカニズムを詳細に解き明かします。

説明されている内容は極めて専門的で、(多分)大変高度なお話です。

学者達は、地球上のありとあらゆるところにサンプルを求めます。南極から高山、深海に至るまで。そして得られたサンプルを、物理学、化学、生物学まで、使える道具は何でも使って解析します。

炭素、酸素、水素、それぞれの放射性同位元素を用いた年代測定や、ミランコビッチ・フォーシング、二酸化炭素が地球温暖化に寄与するメカニズム、氷河の融解と深層海洋流による気候変動への影響などなどについて詳細に解説され、その上でそれらによって得られるデータが示されます。そのデータに解釈が加えられ、意味付けがなされます。

そしてそれらが、ダンスガード・オシュガー・イベント、ハインリッヒ・イベント、ヤンガー・ドリアス・イベントなどの気候変動がおこったからくりであったことが示されます。

自分で書いていて、アタマがクラクラしてきます。

教科書とか、参考書になっていたら、テストとかされたら、これを勉強するのは苦しいだろうなぁ、、、、なんて想像してしまいました。

けれども、実際にはかなりワクワクしながら興奮して読むことができました。

まず、これらの知識についての解説が秀逸です。難しいところはより丁寧に説明がなされ、ストレスなくストーリーについて行くことができます。

加えて、ストーリーの「おかず達」が素晴しいのです。

氷河の中につくられた、原子力発電所を持つ米軍の巨大秘密基地、なんてのも出てきます。

最高の「おかず達」は、地球の気候変動のナゾ解明に様々な形で貢献した研究者達の人生です。研究費に苦労したり、周りからねたまれたり、イロイロです。

感触としては1〜2章くらいで新書一冊分くらいの充実感があります。これが全13章にわたって続きます。

そんな贅沢にひたりつつ、科学史を概観しながら気候変動の歴史を読み解きます。

そこから、過去の気候変動に寄与した様々な要因だけでなく、今日の文明が発展できた背景に、気候の安定があったことが明らかになります。

ここ最近の気候変動は異常です。人類による二酸化炭素ガスの異常な排泄は、これまでに経験されたことのない、新しい気象条件をもたらす可能性があります。

本書は地球温暖化対策を叫ぶ本ではありませんから、答えを提示しているものではありません。ただ、本書の巻末の筆者の言葉が大変重く響きました。

『今年も去年とだいたい同じ量の雨が降ること、三年前とほとんど同じ気温であること、そして海面が10年前とほとんど同じ高さにあるということ。そういうごく当たり前だったことに、私たちはもっと感謝しなければならないのである。』

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