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今日は「やさしい肝臓病の話」という市民公開講座でした。

今日は、肝臓学会「肝がん撲滅運動」の一環として、僕たちの施設で市民公開講座が開催されました。毎年この季節にやっているもので、今年で4年目になります。

今年はマリアビタミンという、病院でやっている健康講座と共催という形での開催でした。

僕は講演会のオーガナイゼーションをしました。

今日の講演会を企画するにあたって、個人的に試みたいことがあったので、自分が司会進行をすることにしました。発表は若い先生たち3人にお願いしました。

試みたかったこと。それは「総論」と「各論」を一つの講演会で対比して違いを浮き上がらせることでした。

話題としてとりあげたのは、「総論」としての「慢性肝炎」と、「各論」としての「C型慢性肝炎」です。

実は、実際の医療現場では、この議論のレベルをもう一段引き下げる必要があるのです。

たとえば、「総論」としての「C型慢性肝炎」と「各論」としての「患者さん個人のC型慢性肝炎」という議論です。

ここに落とし込む必要があるのだということをご理解いただきたい、というのが一番の目的でした。それを感じていただければ、「肝臓病」に限らず、今後の医療情報へ姿勢に応用していただけるのではないかと思うからです。

実は、市民講演会をはじめとする多くの情報発信にはジレンマがあります。少なくとも僕はそう思っています。

一般論が行き過ぎると、「だれが話しても同じ話」になってしまいます。当たり前で、あまり有用でない話となってしまいます。

一方で、各論が行き過ぎると、ごくごく少数の人には極めて有用な話ですが、殆どの人には当てはめられない話となってしまいます。

このジレンマを感じつつ、最大公約数的なお話をせねばなりません。

ところが、世の中ではそう言った考えなしに情報が流布されているように見えます。

また、また、インターネットで検索すると、古い情報も新しい情報も、同じように表示されることがあります。以前の情報がそのまま使えないこともよくあります。

その結果として、不適当な情報を用いて望ましくない結論を導く人が増えてしまうのだと思います。

最近、新聞報道などを読んで患者さんが動揺し、現在進行中の治療を自己判断で中止してしまったとか、そう言う話を聞くようになりました。

治療方針決定時に考慮される情報は様々です。

疾患そのものの一般的特性、現在の疾患の活動性、現在の疾患の進行度などに加え、年齢、性別、既往症、合併症などをはじめとする患者さん個人の特性などです。

加えて、医療、医学の世界は日進月歩です。病気について新しいことがどんどんわかってきます。それにつれ新しい治療法がどんどん開発されます。

診療を担当している医師は、みな、それらを勘案して治療方針を決定しています。

一方、世の中では、未来の情報が様々なところから漏れ伝えられてきます。そして、今の情報と混在して伝えられます。また、より明るい未来を描くため、現在のネガティブな側面を強調するような報道もあるように感じます。

不安をもつ患者さんは、こと自分の健康についての情報なので、そういった情報にまどわされやすいのではないでしょうか。

僕は最近、こういった、日進月歩の領域では、治療(ここではC型慢性肝炎に対する、ウイルス排除を目指した治療と念頭に置いています)を、コンピュータみたいなもの例えられるのではないかと感じています。

つまり、各個人において、いつ「それ」が必要なのかにより、判断する、ということです。

明日まで待てばもっといいものが出てくるかもしれません。もうちょっと待てば、確実です。ただそれがいつになるかはわかりません。

そしてその「もっといいもの」も、いずれ古くなるでしょう。

ならば、今、本当に必要なら、今のベストをやるのが一番いいのだと思うのです。

ただ、望まぬ結果に終わることもあります。

そういった不確実な状況において、なにが一番大切でしょうか?

僕は、自分がとった行動について、あとから後悔はしたくないという、ここのところが最も大切なのではないかと思うのです。

そのためには、各人にとっての「本当のベストってなに?」っていうところを、落ち着いて多方面から考える必要があります。

そのために、集めた情報が、「総論」なのか、自分の参考になるような「各論」なのか、それとも、とりあえず自分とは違いそうだけれど「こういう人もいますよ」という「各論」なのか、をよく考えていただきたい。

そういうメッセージを込めて企画したつもりでした。

今日のために、新しいスライドをつくり、わかりやすい内容をめざして準備してくれた先生方、チラシの配布、会場準備、資料の用意などに尽力していただいた看護師の皆さん、感謝のかぎりです。

そして何より、週末にも関わらず、最終的には80人以上の方々にご参加いただきました。皆様に感謝しております。少しでもお役に立てたなら幸いです。

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