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劇団こまつ座のミュージカル「十一ぴきのねこ」(作=井上ひさし 演出=長塚圭史 )を観てきました。よかった。

昨日、「十一ぴきのねこ」を観てきました。

今年は、井上ひさし生誕77周年とのことで、「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」と銘打ち、8本の井上作品が再演される、その第一弾とのことでした。

よかったです。

「十一ぴきのねこ」子供向けの絵本を題材にした演劇です。 

十一ぴきのノラねこが「おおきなさかな」を求めて旅に出ます。そして力を合わせて「おおきなさかな」を手に入れます。

わかりやすいメッセージがしっかり込められています。

夢に向かって力を合わせることの素晴らしさ。

あきらめないこと。

それを実現した喜び。

子供が見てもわかり易く、素直に楽しめるストーリーです。

劇では、役者さんたちの演技、歌、一緒に演奏されるピアノのどれもが素晴らしく、大変に盛り上がり、とても楽しめました。

子供向けではありますが、よく考えてみると、お堅い教育的見地からは容認し難そうなエピソードが語られています。

正々堂々と勝負せず、さかなが眠っているところを襲って獲物としてしまったり、暗闇にまみれて自分勝手な行動(さかなを勝手に食べてしまうこと)をとったりすることなどです。

現実世界でよくある話を象徴しているようにも思えます。

ヒトはパンのみにて生きるにあらず。

けれど、パンなくしてヒトは生きられず。

絵本ではそこまで飲み込んで、毒気のない、ほっとした笑いを醸し出しています。

劇はその辺に焦点を当てます。夢を実現し、お腹いっぱいになったところでは終わりません。

彼らは「おおきなさかな」をつかまえ、夢を叶えます。

お腹がいっぱいになって、そこに理想郷が実現されます。

最初は良いけれど、それは腐敗、堕落のはじまりでした。

「初志」が声を張り上げようとすれば、それは抑圧されます。

「初志」を忘れぬ者は、悔し涙にくれながら、それでも歌います。

かつては楽しげに聞こえたその歌が、悔しげに響きます。

でも、ただ悔しげなだけではありませんでした。

その涙、歌に希望を感じること。

それが、作者、演出家のメッセージなのかなぁ、、、と思いました。   

「いつの時代も同じ」ということなのか、「今だからこそ」ということなのか、両方なのか、、、

よくわかりませんが、希望は持ち続けねばならないのだと思いながら、観劇を終えたのでした。

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