「5大学連携アドバンスワークショップ」に参加して、医療もつまるところ「タマネギ」みたいなものかもしれないと思った。
先週末、「5大学連携アドバンスワークショップ」に参加してきました。その説明は参加前に書きましたので、前回の記事をご覧下さい。
今年の秋は、臨床研修指導医講習会のお手伝い、プログラム責任者養成講習会、それに今回のワークショップと、初期臨床研修に関する泊まりがけの講習会に三つ参加ました。僕にとって、今までになかった事です。
今回のワークショップは、他2回と大きく異なる点がありました。指導医の資格を持った医師のほか、研修医の人たち、看護師さん、事務の方々などが参加されたことです。若い医師を育てる臨床研修にかかわる複数の職種の人たちが集まって、臨床研修について考えよう、というものです。看護師さんたちの感想には、「今後の新人看護師教育にも活かしていきたい」なんてコメントもあって、そちらにもフィードバックができればとても良い循環が生まれるかもしれません。
このような試みは、全国的にもあまり例を見ないものだと聞きました。
看護師さん達の目から見た臨床研修指導の現場を聞きながら、確かに、研修医のDr.と最も接するのは看護師さん達かもしれないなぁ、、、なんて、当たり前のことを改めて思いました。
研修中の若手Dr.たちは数ヶ月ごとに各科をローテートしていきます。看護師さん達の目の前を通り過ぎるように変わってしまいます。その短い期間であっても、チームの一員として情報の共有、仕事の連携をしていく必要があります。
そしてそうやってローテートしてくる若いDr.達のそれぞれが持つ未熟な側面は、看護師サイドからも、当然、見えています。
その指摘の多くは医学的な内容よりも、療養に関する内容に関係するものや、社会性に関係するものが多いと感じました。彼らは療養のプロですから、当然かもしれません。
それをいかにフィードバックして診療レベルの向上につなげていくかは、職種が違うだけに、とても難しいことだと思いました。
でも少なくとも、診療のプロとしての医師と、療養のプロとしての看護師が、それぞれの研修プログラムに関して情報を交換することは、施設の医療レベルの向上に寄与するところがあるだろうと思いました。具体的にその「寄与するところ」をいかに評価するかはまた難しい問題ですが、、、。
また、事務的な面から研修医をサポートしているうちに、お部屋が研修医のたまり場(失礼)となり、彼らの小さなつぶやきをいろいろと聞きながらそれを見守っている方の、暖かいお話を聞くこともできました。
また、研修医のDr.からは、指導医から
「君のその一針が、患者さんにとって一生残るものであることを考えながら縫いなさい」
と指摘されたときの気持ちなどが披露されました。
医学は他のジャンルとは比較的独立して存在し得ますが、医療は、医学だけで完結し得ないことは明らかです。そして研修医教育も指導医からの視点だけでは完結しないのだと言うことを改めて実感しました。
そんな実感を込めて、今回のワークショップでのセッションを通して眺めてみると、コーチング、メンタリング、プレゼンテーション、メンタルヘルス、リーダーシップなど、殆どが他者との関係性に深く関わるものでした。
浅薄な知識で恥ずかしいのですが、仏教の考え方に、人間は人と人との関係性にその本質があるという考え方があるそうです。そしてその関係性を一つ一つはがしていくと、最後はタマネギみたいに何にもなくなってしまうんだそうです。
医療も、実は学問と学問、専門職と専門職、人と人、医療者と患者さんとの関係性のなかに、その本質があるんではなかろうか、、、。医療もつまるところ「タマネギ」みたいなものかもしれない、、、。
そんなことを思いながらワークショップを終えたのでした。
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