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「がん細胞光る試薬」の講演メモをもとに自分の理解を整理してみた。

昨日の「癌細胞が光る技術」について、インパクトがとても強かったので珍しくメモを取っていました。

せっかくなので、僕が理解できた範囲でヒトにも説明できるよう、備忘録的にまとめておこうと思います。理解が足りない点や誤解している点などあれば、ごめんなさい。ご指摘いただければ幸いです。

造影剤という薬があります。CT検査、MRI検査、超音波検査などの画像検査で、その検査の精度を高めるためのお薬です。

ざっくり説明しますと、注射で血管の中にお薬(造影剤)を注入します。すると造影剤は、がんにも正常組織にも入っていく。多くの場合、がん組織の血液の流れ方は正常組織と異なるので、その違いから診断をしていきます。

彼らはそういうお薬で、光る薬を作って、CTとかではなく、目でみてわかるようにしたいと考えました。

そうすれば、外科手術などの場面で大変便利であることは明らかです。

造影剤と同様の光る薬というだけなら、もうすでに使われています。フルオレセインという蛍光色素です。これは体の中にいれても大丈夫だということがわかっています。ただ、フルオレセインはいつも光っているし、正常の組織にも入っていきますから、光る場合は、みんな光ってしまいます。それ以前に、血液で薄まってしまい、光が弱すぎて、特殊な用途以外には使えません。

彼らはそういう「いつも光っている物質(プローブ)」(always on probe)ではなく、「適切な環境(がん細胞内)においてのみ光るプローブ」を作ろうと考えました。他が全く光らないのなら、がんの検出感度は高くなるはずです。(なんと志の高いことか)

そんなことができるのでしょうか。

そのような物質を作るためのヒントがありました。

カルシウムと結合することによって蛍光を発するような物質があるのですね。GFP。下村博士の2008年のノーベル賞受賞で有名になった物質です。浦野先生の講演で下村博士の名前は出てきませんでしたが、これに関連する物質だと思います。

ただ、蛍光を発する部位の化学構造はわかっていたけれど、それがどのような修飾を受けると、光ったり光らなかったりするのかがわからなかったのだそうです。

このため、蛍光を発する物質をデザインすることができませんでした。

ところが最近、それがわかってきて、デザインできるようになったのだそうです。(細かい事は理解できていませんが、「電子密度」が大切なのだそうです。電子密度が高すぎても、低すぎても光らないらしく、それを化学構造によって調節できるのだそうです。)

そこで彼らはまず、酸性環境で分解を受け、蛍光発色する物質を作成しました。そして、がんの目印(抗原)とくっつくタンパク質(抗体)と混ぜ合わせてみました。

抗体はがん表面の抗原とくっつきます。蛍光物質は発色しません。別に酸性じゃありませんから。

くっついた抗体は細胞の中に取り込まれます。まだ光りません。

その後、抗体は、リソソームという袋の中で分解されます。蛍光物質は、このリソソームの中に入ったとたんに発色します。リソソームの中が酸性なのです。

これにより、がん細胞のみを光らせる事に成功しました。

でも、これでは光り始めるまでに時間がかかりすぎます。

それから、やっぱり血液のなかに注射で入れなくてはいけないので、がん細胞までたどりつく間に、色素が薄まってしまいます。もっと濃くできないものか、、、。

そこで、彼らはがん細胞の直接スプレーで振りかけることを考えました。直接スプレーで振りかければ、薄まる事を考えなくてもいいわけです。

がん細胞の中に入ったとたんに光るようにしたい。そこで、がん細胞でだけ活動性の高い酵素を探しました。

見つける事ができれば、その酵素によって分解されたとき初めて光るような蛍光物質がデザインできます。

けれど、彼らのような目的で「生きている」癌細胞の酵素活性を調べた報告そのものがありませんでした。

そこで、彼らはproteaseとかhydrolaseと言われる酵素を片っ端から候補とし、それによって分解されて光るような物質を順番につくって試してみました。

何個作ったのかわかりませんが、gamma-Glutamyl Transpeptidaseという酵素ががん細胞だけで活性が高いことがわかりました。この酵素で分解されて蛍光を発する物資は、がん細胞だけで極めて明るく光ります。

実際のところ、ネズミのお腹の中に作った腫瘍に、蛍光物質をスプレーで振りかけて数十秒のうちに緑色に光って暗闇から浮き出てくる動画は大変インパクトがありました。

1mmに満たないような腫瘍もギンギンに光り始めるんですから、、、。

他にも早期胃がんの切除標本のようなサンプルのデモンストレーションもありました。詳しい説明がなかったので詳細はわかりませんが、、、。自然光のもとではわかり難いけど、クスリを振りかけると、ホラ、がんはココまで広がっているのですよ、ってな感じで光り始めるのです。

しかも、その動画は普通のコンパクトデジカメで撮影したものだそうで、本当に特別な事をしなくても見えるようになるのでした。

まずは手術の現場でとても有用だと思います。

光の波長を変えることもできるらしく、100nmくらい波長を変えると組織を透過するようになります。すると、胃癌の手術なんかで胃の外側からがんがどこにあるのか見られるようになるかもしれません。

健康診断における胃癌検診みたいなものも、内視鏡時に薬をかけて光ってるところだけ探せば良いのであれば、随分楽です。

そして診断精度も高くなるでしょう。

早期のがんでも光らせることができるかどうか、光らない患者さんはどの位いるのか、より多くのがんで光るようにするにはどうしたら良いか、、、などなど、改善すべきところは多々あるでしょうが、夢ふくらむ技術だと思いました。

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