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若い人のプレゼンを聞く時には、もっと「嫌なジイさん」になろうと思う。

最近、若い人達、特に研修医の先生方のプレゼンテーションを見る機会が増えました。

臨床研修制度が変更され、研修医の人達は臨床研修センターに所属をして、ローテーターとして、一定期間、僕たちのところに研修にきます。そしていくつもの科をローテーションし、2年間の初期臨床研修が終わった後、自分の後期臨床研修先を選択します。

僕たちとしては、一人でも多くの人に仲間になってもらいたい、自分たちの科を選択してもらいたい、と思います。そのためには、彼らが僕たちのところで研修している間に良いイメージを持ってもらうことが大切です。

そんな気持ちが最近強くなりすぎていたように感じます。最近ちょっとやさしすぎたかな、、、と反省しています。

彼らが用語を多少間違っていても、スルーしていました。

あまりにマズい時は、ミーティングが終わってから、個人的に話しかけ、アドバイスをしていました。

でも、そんなやり方では限界があります。『若者』が1人なら、そしてずっとここにいるならそれでいいと思いますが。

基本的なスタンスは

「僕たちの診療科に入局してから頑張ればいいよね、、、、。」

だったんです。

僕自身、若かりし頃、みんなの前で、これでもかと突っ込まれて、とても嫌でした。ですから、そんな思いをさせない方が、彼らは喜んで研修してくれるのではないか、なんて安易な考えもありました。

でも違うかもしれない、、、。自分が発表し、他の施設の老若男女も発表しているのを聞いて思いました。

あの「嫌な思い」は、当時の「自分の力のなさ」も理由の一つだったのだ、、、と思うようになりました。

他人のプレゼンテーションは突っ込みどころ満載です。僕のプレゼンだって、自分がやって、それを客観的に見れば、そうほめられたものではないと思います。

いわんや若者のプレゼンにおいてをやです。

やろうと思えばイジメのような状況をいとも簡単に再現できるでしょう。

先ほど、「嫌な思いをした」と書きましたが、僕が研修医のころも、大分痛めつけられました。

研修医のプレゼンが悪いと指導医がおこられますから、先輩先生も大分ピリピリしていました。

研修医一年目の時、最初のプレゼンテーションをする前夜、緊張気味の同級生D君は、指導医だったF先生からプレゼン原稿を作っていただき、

『お前は明日までにこれを100回読んでこい!』

と言われていましたっけ。

画像のプレゼンテーションも、準備不足だと、当時のO教授、S助教授、T筆頭講師といった先生方から

『我々プロを前にプレゼンテーションをするのに、なぜそういういい加減なことを言うか!』

とおこられました。まぁ、当然ですね。

ある科では、検査データを機械が打ち出すとおりに書き写してプレゼンしたら、

『順番がめちゃくちゃでわかりにくい。頭を使ってデータを読んでいると思えない。』

と言われ、自分なりに考えて(整理したつもりで)プレゼンしたら

『こんな順番見たことない。』

と言われ、、、、。エラい先生のコメントに、カンファレンスの司会の先生がイチイチ

『Exactlyですねぇ!』

なんて相づちを打つもんだから、

(なぁにが『イグザァクトォリィ』だ!バカヤロウ!!)

と、心の中で悪態をついていたことを覚えています。

でも、今から考えると、そういうカンファレンスだったから、自分のためになったように感じる瞬間があります。

でもあの頃、

『順番がめちゃくちゃでわかりにくい。』

『こんな順番見たことない。』

と言った批判に、当時の僕は、確かに、自分の考えや根拠を挙げて反論することができませんでした。そんなの簡単なことのはずなのに。だから、

『どういうことを言ったら突っ込まれてしまうか』

『どう準備したら吊るし上げられずにすむか』

『どういう質問をされそうか』

ということを、必死で考えました。

あの経験がベストだったとは言いません。

でも、それはとりもなおさず、自分のプレゼンテーションを客観視する、真剣なトレーニングだったように思います。

『ほめて育てる』ことがもてはやされる時代ですが、ワンランク上を目指すには、『厳しさの導入』も必要なのではないかと思います。

ただ、この時、けなし役の僕は、一時的に、自分を棚に上げねばなりません。僕自身がまだ自分を『完成型』だとはとても思えないので。

それが一番心苦しいのですが、でも、互いの傷をなめ合っているだけでは前進は難しいでしょう。

それでは達成感を感じることもないのではないか、そんな風に思います。

僕のプレゼンも、色々指摘してもらいたいと思います。reasonableなものである限り、そこに学年、年齢は関係ありません。

『厳しさの導入』を通して、一緒に頑張る雰囲気の醸成を目指したいと思います。

その上で、仲間がふえることが、目指すべき方向であるように思います。

そんなことが、うまくできるのかなぁ。

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