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電子カルテの入力に年令を感じる

もうしばらく前の事になるけれど、外勤先の病院が移築をきっかけに電子カルテシステムに完全移行しました。

これで今、僕がお給料をいただいているところ、全てが電子カルテになりました。

この新しい電子カルテシステムを含めてこれまで経験したことのある電子カルテは5つ。それぞれに特徴があります。

共通して紙カルテと異なるのは、各患者さんのデータが、診療科を問わず一か所に集まる事。これはメリットです。

一方で、診察所見などのカルテ記載は、多くの場合、巻物のように上から下へ、延々と記事が続きます。この「巻物」の設計も電子カルテにより異なります。全ての診療科の記録が一本の「巻物」に記載されてゆくものと、診療科ごとに記録がまとまるものもあります。別の巻物がある、って感じでしょうか。

過去の記載を探したりするのは結構大変です。(まぁ、紙カルテでも大変でしたが。)この閲覧性の悪さはまだまだ改善の余地がありそうに思います。

また、日本語入力にあたっての変換は、自分のクセみたいなものがあって、コンピュータが変わるともたついてしまいます。これはMacとWindowsの漢字変換のクセとか、キーボードのUS規格とJIS規格の違い、さらには打鍵感の違いなどによっているところも大きいと思います。

(ちなみにMacの「ことえり」では、文章を長く打ち込んでから変換すると、変換効率が高くなります。僕は「ことえり」を使っているので、普段は最低でも読点から読点まで、場合によっては一文全てを打ち込んでから変換しています。)

そのくらいならまだいいのです。

もっともやっかいなのは慣れないシステムで、慣れない事をしようとする時です。最初のうちは、検査データをみようとしたり、なにかの検査をオーダーしようとしたり、処方をしようとしたり、日常診療業務で頻繁に行うものでもいちいち大騒ぎです。

患者さんが何もする事なく見つめている中、迷い迷いつつコンピュータの操作をするのも気が引けるので、一度外にでてお待ちいただいたりすることもあります。

まず、そのオーダーのページまでたどり着くのに一苦労です。

タブが沢山あって、それでウィンドウの表示を切り替えるものや、ボタンになっているもの、ウィンドウが何枚も別個に開くもの、ウィンドウが三つ程に分割されていてそれぞれの役割が割り振られているものなどなど。

必要なボタンを探して眼が泳ぎます。そして一操作ごと、次にしなくてはいけない操作を頭で考えます。

病名の検索なんかも、カタカナで検索する電子カルテと、漢字表記で検索する電子カルテがあったり、処方箋、注射、採血の指示なども入力様式や入力の順番が違ったりします。

そんなですから、慣れるまでは横にいる看護師さんに相談したりしながら作業を進めて行きます。

さらに、多くの場合、オーダーし終わってから、不安な操作をする事が頻繁にあります。そのオーダー画面を閉じるボタンに「やめる」とか書いてあるわけです。

「えっ?これでいいのかな、、、」

と不安に苛まれつつ、終了しないと次のことができないので、ポチッとやって大丈夫なことを確認してから次の作業に移ります。

時間に余裕があるときはこう言ったこともいちいち面白いと感じられるのですが、患者さんが列をなしてお待ちになっていたりすると、さすがに余裕がなくなってきます。

そんな作業を追い立てられるようにしながら気がついたことがあります。

最近、独り言がふえました。

「えーっと、次は、、、、」

とか、

「これでよし!」

とか、気がつくとクリックごとにブツブツしゃべっています。考えてみれば、これまでも心の中でそういう言葉をつぶやいていたように思います。ただ最近は、なれない電子カルテを相手にするようになり、言葉として発音されているようです。

間違いをなくすため、いわゆる指差し確認みたいな事を1人でやっているわけです。

このような確認動作は、ステップの数が少なければ、作業効率をあまり落とす事なくミスを減らせます。でも、ステップ数が多い場合、全てでやると、作業効率が著しく低下します。

診療中の電子カルテ入力における独り言による確認動作は明らかに後者に属します。本当に実感します。

慣れてくれば、静かに素早く操作できるのだろうと思っているのですが、いつまでもブツブツ言いながらやっていると、自分の適応能力の低さを露呈しているような気がしてしまいます。

早く慣れて無言でサクサク作業ができるようになりたい、と一生懸命操作をして、ふと我に返って思いました。

以前は、こんなこと思わずにできるようになっていた気がするんだけどなぁ、、、。

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