ないないづくしの起業術
ないないづくしの起業術 (中公新書ラクレ) はビジネス本のような題ですし、たしかにそれっぽい事も書いてありますが、その実際は、筆者のパン屋さん起業の思い入れを熱く語ったものだと言っていい、大変おもしろい本だと思います。
ビジネス本っぽく第一章が始まります。5W1Hを使って筆者のビジネスモデルを分析してみせます。ここで僕が最も印象的だったのは、小麦とパンに対する純粋で一途な筆者の想いです。
そして第二章から第四章にかけて、企業における筆者の具体的実体験が語られます。熱く一途な想いと人柄が、周囲の人を動かしていく様が生き生きと感じられます。
読んでいて、故橋本龍太郎元首相の言葉を思い出しました。2006年7月2日、読売新聞の朝刊に掲載された語録の一つです。彼は、リーダーに必要な資質を問われて「自分の夢に、自分自身が酔えること。相手に自分の夢が語れ、相手を巻き込んでしまう能力。」と答えたそうです。まさにそんな感じで起業が進んでいきます。ご本人はネットワークという言葉で表現されていますが、筆者の想いに多くの人が巻き込まれていきます。
やっぱり、このエネルギーが大切なんだなぁ、と思いました。
そして第五章では、パンの歴史や、パンを楽しむ時の評価のポイント等を説明してくれます。
備忘録もかねて、パンの味わい方について項目だけあげておきますと
1:パンの見た目
2:パンの音
3:パンの内層・断面
4:パンの香り
5:パンの触感、手触り
6:パンの味わい、アフターテイスト
という6項目だそうです。
本文中ではそれぞれについて、やさしく解説してくれています。なるほど、こうやってパンの要素を分解して味わえば日頃食べているパンの今までとは異なる側面を見つける事ができるかもしれません。
第六章では、約一週間をかけてのパン焼き実践講座です。子供の夏休みの宿題に良いかなぁ、、、考えながら読んでました。
おぉ、ついに巻き込まれてしまった、、、なんて思いながら、興味深く読みました。
ないないづくしの起業術 (中公新書ラクレ)
著者:大和田 聡子 |
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