恐怖と愛らしさの狭間で 2
前回の続きです。
時が流れ、結婚し、子供が二人生まれた。子供たちは今や小学生となった。
四人もいると、小さいながらも立派なコミュニティだ。
社会の中では、個人の思い通りにならない事もある。でも、それが、どうしても譲れず、困ってしまうコトもある。犬好きなのだ、、、。僕を除いて全員。
状況が変わりつつあった。
最初は犬のぬいぐるみなどでごまかしていた。他の生き物を飼ってもみた。今から考えれば、それは全て逆効果だった。
犬を飼いたいという欲求を、さらに大きく育てただけだった。
今は家父長制の時代でない。3対1。外堀は埋まりつつあった。
そして先日、我が家の世論は突然、津波のような高まりを見せて押し寄せてきた。
近所のペットショップで小さなかわいい子犬を見かけたらしい。僕を除く3人は、もう一目惚れ。毎日のようにワンちゃんに会いに行く。
家族は、僕が犬に恐怖心を覚えている事は知っている。
子供たちは僕の説得にかかった。娘などは、その子犬が如何にいい子かを、僕に涙ながらに訴える。
(知りもしないくせに、、、)と思っても、こっちはもっと知らないのだから、反論に説得力がありようはずがない。
犬嫌いの砦はついに落城した。
やってきたのは生まれて数ヶ月のカニンヘンという種類の子犬。ミニチュアダックスよりも小さいダックスフントらしい。
子犬自身の性格だろうか、とてもおとなしい。慣れない環境に緊張したり、おびえたりしているのが手に取るようにわかる。十倍以上も大きい僕が恐怖感を持つには、あまりにいたいけな感じがする。
目をつむった時に足音だけ聞くとやっぱり恐ろしいけど、これなら戦っても勝てそうだ。ちょっと安心した。
それから数日、毎日顔をあわせてみると、、、
かわいい、、、、。
いや、僕は犬に恐怖していたはずだ、、、。
僕がとまどっていることなどおかまいなしに、この小動物は愛嬌を振りまいている。
あの足音の恐怖感が消える事はないけれど、この仔に関しては、どうやら白旗を揚げるしかなさそうだ、、、。
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