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ヒューマンエラーのメカニズム

一年越しの素人的医系小論文演習事始プロジェクトです。前回書いたのが2月ですから3ヶ月ぶりとなります。

今回は医系小論文テーマ別課題文集21世紀の医療 改訂版 (駿台受験シリーズ) の課題11b 「ヒューマンエラーのメカニズム」です。

 普段の生活の中で、医療事故の報道は多くはないにせよ、時々目にすることがあります。通常、「対岸の火事」的な感じでやり過ごしてしまいますが、当事者にとっては大変な事です。誰しもが当事者となりたくはないものです。

 ではどうすれば良いのか考えてみます。

 「人は間違いを犯すものである」という前提に立てば、この種の事故は無くなる事はありません。医療に従事している限り、医療事故の当事者となる可能性が常にあるということです。

 この、人間の犯す間違いをヒューマンエラーと呼び、それの起こりやすい状況を分析し、対策を立てる事で、少しでも事故を事前に回避しよう、というのが現代の流れだと思います。

 発想の根底には「エラーにはそれが起きた原因があり、その原因を全て除去する事によって全てのエラーは回避できる」というロジックがあります。

 これはある意味で大変正しくて、反論の余地がありません。

 課題文ではヒューマンエラーの要因となりうるものを一般化してまとめ、解説しています。

 これを見ると、一人の人間が誤った行動に出るまでには多くの段階を経ている事がわかります。一定の指示や状況を受け、行動をするまでの心の動きが六段階あり、それぞれを妨害する複数の事象がおこりえます。

 複数の事を同時にこなさなくてはならないような忙しい日常業務で、それぞれについてこれら全てを意識する事は人間の能力を超えています。チェックポイントを増やしすぎると現実からかけ離れた対策になってしまいます。

 この点からすれば、「エラーの原因を全て除去できれば」という前提に誤りがある事になります。

 絶対起こってはならない事を最優先として優先順位を決めて、可能な範囲のチェック機構を設ける事、 重要なものほど複数の人間によるチェックを働かせる事、日々の数限りない業務の中では、非常に低い確率でも、事故が起こってしまう可能性について機会あるごとに認識する事が大切なのだと思います。

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