医系小論文テーマ 10-a 社会的合意をどう形成するのか
今回の課題は、課題10-a 「社会的合意をどう形成するのか」です。
何事につけ、新規の物事に対する社会的評価と合意の形成は、今に始まった事ではありません。それは多くの場合、なんとなく、いつのまにか、合意に達する、という事が殆どであったのだと思います。
そのような形での合意形成に大きく影響するのはマスコミです。マスコミに注目され、大々的な報道があると世論はそのマスコミの口調に誘導されるようにして合意が形成されます。少なくとも、僕にはマスコミ報道が的を得たものであるのか、視聴者による適正な評価がなされていないように感じます。報道番組は徐々にバラエティ化してきており、マスコミが序論、本論、結論をひとまとめにして定食のように提示する事が増えているように思います。
だからこそ、先端技術を医療として確立するためには、それに関わる人全てが目指すべき着地点をある程度視野に入れ、合意を目指す事が必要となると思います。
少なくとも単純な是か非か、という議論ではなく、賛成論者も反対論者も医学、医療の進歩という共通の目的をめざした議論をすべきです。反対であれば、なぜその技術を医療に用いるべきでないのかを明らかにし、その問題は解決可能であるかどうかを吟味すべきと考えます。
一般に先端医療、新規技術についての議論は後ろ向きの意見を説き伏せるのが難しいことが多くあります。なぜか。それは先端医療技術が革新的であればある程、予め予知するの事の出来ない危険性が常に潜むからです。
そしてそれを乗りこえるための生命倫理に関わる問題には、関わり方や立場によって、考え方は様々で、万人にとっての正解にたどり着く事はきわめて困難だと言えます。
従って、どのような合意であっても、医療、医学の進歩と新たな経験をもとに、議論を継続し改善し続けていく事をコンセンサスとしておく必要であると思います。
そして、そのようなコンセンサスが不十分なまま一歩を踏み出して、一見望ましくないように見える結果がでた時、「合意」は大きく動揺し、医療は大きな後退を余儀なくされると思います。
それによって患者さんが不利益を被ることは可能な限り避けなくてはなりません。
だからこそ、受動的ではなく、議論をつくした上での能動的な合意形成を目指す事が望ましいのだと思います。
具体的な方法論として、情報技術革命の恩恵を十分に活用する事が望ましいと思います。情報収集や学習のためのツールとしてインターネットは非常に便利です。また、国民各層からの「意思表明」のため、ホームページ上でパブリックコメントを募集する事も増えてきました。blogやtwitterといったものも、対象は不明確ながらそれぞれの意思表示の一つの形と言えます。
しかしこれらが雑然と存在するだけでは合意に到達する事は困難です。
それらを取りまとめ、公表し、広めていく過程においては、関係機関と、マスコミの果たすべき役割は、これまでと同様に重要だと考えます。
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