_

関連

無料ブログはココログ

« 医系小論文テーマ 7-a 遺伝子診断のもたらすもの | トップページ | 危うし?政治家英語?? »

危うし!小学校英語

危うし!小学校英語 (文春新書) は小学校での英語教育導入に反対意見を述べた本です。

 僕は、英語を第二公用語とする意見には賛成なのですが、現状の小学校での英語の授業のあり方に疑問を感じているので本書を手に取りました。

 本書では小学校の英語教育導入がどのような流れでなされていったのか、一つの視点から解説がされます。

 おおざっぱに言えば、「学校英語は役に立たない」「英会話力に力を注ぐべき」といった議論が、いろいろな利害と、子供に「楽に」英語を習得させたいという安易な親の希望もあいまって、後戻りできない世論の大きな流れとなっていった、という事のようです。確かにそのような議論を聞いたことがあります。

 しかし、自分の少ない経験からすれば、外国語としての英語を学ぶときに最も頼りになったのはいわゆる受験英語であり、学校英語でした。今でもそうです。外国語を学ぼうとするとき、感覚的なものに頼れない中、言葉を理解する最も確実な手段は文法です。

 そのような体系だった語学教育を導入するのであれば、小学校での導入は早すぎるかと思います。また、道具としての英語を教育しようとするのであれば、週3-4時間は最低必要になるのではないかと思います。これはかなりの負担です。

 さらに、「国際語」としての英語を教える事で、異文化に対する意識を開こうとするのであれば、それは英語でなくても出来る事のような気がします。さらに「英語=外国語」というイメージを植え付けてしまうのであれば、デメリットの大きさは無視できません。

 そんな事を考えると小学校教育に英語を導入するメリットはあまり無いように感じられます。

 一方で、私学での小学校英語教育は今に始まった事ではないようです。私立の小学校では英語の導入がなされているところがいくつもあるそうです。

 けれども、中学、高校、大学、その後を通じ、「小学校英語教育」を受けた人と、そうでない人の違いを実感したことはありません。「やっぱりあいつは小学校のときに英語を勉強してたから違うよね。」というセリフを聞いた事が無いのは、僕が小中高と公立の学校だったからでしょうか、、、。

 発音、ヒアリングは確かに難しいし、僕は今でも苦労していますが、英語が母国語と同様に自在に扱えるようになる事はないのだと割り切って、道具としての英語を使い続けることにしています。

 国際学会などでは、中国語なまり、日本語なまり、ドイツ語なまり、フランス語なまり、スペイン語なまり、ヘブライ語なまり、インド語(?)なまりの英語で議論がなされます。みんな多かれ少なかれ、不自由な思いをしながら「道具」を使ってコミュニケーションをとっているのだと思います。

 米国にいた時、母国語のなまりが強すぎて英語だと思ってもらえない人がいました。そこまでなまりが強すぎて通じないのは困りますが、道具として使えるのであれば、発音もそんなに気にしなくていいのではないかと思います。ネイティブイングリッシュと言ったって、オーストラリア、イギリス、米国東海岸、米国西海岸、米国南部と発音は違います。

 話が横にそれましたが、早期に英語と触れる事により英語習得がより楽にできるという「迷信」はいわゆる帰国子女の人達に両言語を流暢に扱える人が多いからだと思います。

 しかし、たとえ帰国子女であっても二つの言語をものにするのに楽な道はないと思うのです。単純計算で倍の努力が必要な訳で、一言語だけを習得すればよい子供に比べれば、二言語を習得しなくてはならない子供の努力の量は、2倍とはいわないまでも、少なくとも数十パーセント余分な努力をしなくてはならない事は間違いないわけです。子供にとってこれは大変なことで、楽な話ではありません。

 彼らだって、空気を吸っているうちに自然と2カ国語が出来るようになったわけではありません。

 一般的にはそういう努力が必要な環境におかれない限り難しいものだと思います。具体的には多くの場合、海外生活という事になるでしょう。そしてその環境を帰国後も維持するのはそう容易い事ではないと思います。

 親心としては、自分の後悔、コンプレックスなどから、子供には少しでも楽に語学を習得させ、自分のような後悔やコンプレックスをもたないようにしたいという事だと思いますが、現実はそう甘くはありません。楽して得られるものは多くないのは当然の事だと思いますが、やり方によっては英語を楽に習得できそうな幻想を作り出してしまった事に問題があるように思いました。

 

危うし!小学校英語 (文春新書) Book 危うし!小学校英語 (文春新書)

著者:鳥飼 玖美子
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

« 医系小論文テーマ 7-a 遺伝子診断のもたらすもの | トップページ | 危うし?政治家英語?? »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 危うし!小学校英語:

« 医系小論文テーマ 7-a 遺伝子診断のもたらすもの | トップページ | 危うし?政治家英語?? »