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医系小論文テーマ 7-a 遺伝子診断のもたらすもの

素人的医系小論文演習事始

テーマ 7-a 遺伝子診断のもたらすもの

 近年の分子生物学の進歩には凄まじいものがあります。ヒトゲノム計画が終了した後、2007年にはDNA二重螺旋構造の発見者のひとり、ワトソン博士個人の全DNA配列が解読されたそうです。

 

 ヒューマンゲノム計画が終了するのに全世界の研究所がよってたかって10年以上もかかりました。どのくらいの予算がつぎ込まれたのかわかりませんWikipediaによれば1990年、米国で組まれた予算が30億ドルだったそうですから、3000億円以上かかっているのは間違いありません。これに加えて日本を含め多くの国がこのプロジェクトに参加しています。

 

 約20年後の今日、ワトソン博士のDNAは1億2000万円程度で全部解読できてしまったそうです。

 

 近未来には個人のDNA配列が一時間もかからずに全て解析できるようになる事が、もう実現可能なレベルで語られているそうです。

 そんな脅威的な分子生物学、分子医学の進歩によって対する漠たる不安が課題文で述べられています。「ヒトゲノムが本当に解読されれば、生命科学にも医学にも革命がもたらされるでしょう」と書かれています。

 

 けれども僕はそうは思いません。進歩はつねに過去の歴史に基づくものだからです。

 大発見によって疾患概念が大きく変わることがあります。しかしそれでも、その新たな疾患概念もこれまでの臨床的知識のうえに成り立つものであって、「過去の観察や経験は嘘であった」というものではありません。

 大きく変わっても、過去の知見が否定されるわけではないのです。ただ、解釈が訂正されたり、これまで説明不能だった事に新たな説明が加わることはあるでしょう。

 例えば、ヒトゲノム計画の結果、「ある人が自分の将来の病気を知ることができるようになる。」それが問題であると課題文で例示されます。しかし、同様の事はこれまでもやってきているのです。家族歴などで。

 染色体第何番に原因遺伝子が存在するそういった病気が家族に発症している場合、自分が同じ遺伝子を持っているかどうか、なんていうのは確率論的にある程度はわかる事です。遺伝子診断によってわかるというのは、それがより具体性をもった言葉で、個々人について語れるようになるという事だと思います。本質的な部分で差違はあまりないのではないでしょうか。

 ヒトゲノム計画の結果として得られた膨大な情報と過去に積み上げられた知見をつなぎ合わせるバイオインフォマティックスによって得られる新たな知見も、その延長上にあると僕は思います。

 「遺伝子診断のもたらすもの」も基本的には、「これまでの知見」に「新たな知見」を加えて行くものであるはずだと思います。 分子生物学がどれほど進歩しても、生命観、医学観、倫理観が、過去と決別したかのような大転換を短時間のうちにする事はむしろ少ないのだろうと思います。

 

 現実が変わるわけではありませんから。

 ただそれを理解しないまま、過剰に反応してしまうと、課題文で示されているような健康保険に加入できなくなったり、社会的に不利益を被る事も出てくる可能性があるでしょう。

 新たな知見は、必ずや過去とのつながりの中で議論され、答えが導きだされるベキだろうと思いますし、そうなるのだろうと思います。この点では、新しい情報を前にしてパニックに陥る事にさえ注意をすれば、僕は大丈夫だろうと楽観的にとらえています。

 本当に大きな変化は、日々の生活では実感できないものだと思います。ふと立ちどまって、過去をじっくりと振り返ったとき、その連続した進歩の末に到達した道のりの長さをあらためて実感する、大きな変化、大きな進歩とは概してそういうものではないだろうかと思うのです。

 

 

 

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