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医系小論文テーマ 5-b 「性転換手術」は治療行為か

 医師として仕事をしてきて、この問題について真剣に考えた事はありませんでした。恥ずかしながら。
 
 医学部受験生はこういう問題についてまで勉強する必要があるとすれば、大変ですね、、、、。
 
 でも、医学部入学前に全ての問題の専門家になる必要はないはずです。ですから、小論文のテーマそのものは評価を下すためのきっかけにすぎないと思います。評価の対象となるのは、内容に表現された倫理性、論理性だと思います。
 
 ですから僕も文章を書いていいのだと開き直りました。
 
 今回は「性転換手術は治療行為か」という課題文です。
 
 まず最初に自分の立場を明確にするならば、「性転換手術は治療行為となりうる」と考えます。
 
 課題文は、この問題について検討した倫理委員会の報告です。
 
 この中では「治療行為として認める」事が結論としてすでに出ています。それが理由だと思いますが、課題に対し、肯定的な論調となっています。
 
 倫理委員会では
 
「そこに悩む人がおり、それを治す技術を医学がもっているのなら、その苦痛を取り除くために、医療が手を貸すことは当然ではないか。」
 
という論理が主流を占めたそうです。僕もこれには基本的に賛成です。
 
 ここから先は専門家にとっては議論するまでもない事が多々含まれているかも知れません。「性同一障害」という病気について僕は一般の人と同じか、それ以下の知識と経験しか持ち合わせていないためです。
 
 手術が性同一障害の治療として認められるためには、安易な個別論に流れずに、下記の条件をみたす事が必要だと思います。
まず、疾患概念を確立し、確実に診断できるようにする事です。この点に関しては、もうある程度知見が蓄積し、疾患として確立しているのだと思います。
 
 次に、ある程度疾患概念が確立してくると、一般には疾患のタイプ分けが行われます。そのタイプ分けに基づき、通常のホルモン療法では不十分で、手術的加療が必要と考えられる患者さんと、そうでない患者さんを見分ける事が可能になれば、手術にふみきるハードルは低くなると思います。
 
 この時、治療としての手術が根治療法でない事は患者さんも医療者も強く意識すべきだと思います。手術に対しては充分なインフォームドコンセントが大切です。さらに、治療効果を冷静に評価し、その経験を蓄積していく事は、将来の性同一障害治療の進歩にとって不可欠だと思います。
 
 上記のようなステップは、新たな疾患概念が確立され、新たな治療が臨床の現場に導入されるときに踏むべきステップとしてある程度一般化できるものだと思います。

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