「投与」「投薬」の仏教的意味
以前2007年2月のブログ「使う言葉、使わない言葉」で、僕が研修医時代、投与、投薬という言葉を使わないように指導された、という話を書きました。
ご指導くださったI教授の哲学は今でも正しいと思っているので、この言葉はあまり使っていません。ただ、最近、異論を耳にしたので以前ほどアレルギーがなくなってきました。
投与、投薬という言葉の「投」という字が用いられる語源には、仏教的意味がこめられているのだそうです。
それは釈迦入滅を描いた涅槃図に示されているとの事です。
お釈迦様が沙羅双樹の樹のもとで入滅される時、我が子の急を知った天の摩耶夫人が駆けつけ、薬を届けようと、天上からお釈迦様めがけて薬を投げました。
残念ながら、薬は沙羅双樹の木の枝に引っかかってしまい、お釈迦様に届く事はありませんでした。
弟子達、動物達、沙羅双樹の樹までが嘆き悲しむ中、薬の引っかかった沙羅双樹が青々と茂っているのだそうです。また、薬を取りに行くのはネズミの役割で、同じ絵に猫が書いてあったりなかったり、いろいろな絵があるそうです。
この仏教的故事から投与、投薬という言葉が生まれ、用いられるようになったということです。「投」という文字には、病に伏した我が子を救おうとする母の愛がこめられているのだと知りました。(本当は出典を示そうと思ったのですが、色々なwebなどに出典の明示なしで載っていて正確なところはよくわかりませんでした。)
毎日の様にこの文字に接しながら、表面的な意味しか知らなかった時に比べ、言葉の由来をちょっとでも聞きかじった今は、自分の心持ちが少し変わったような気がしています。
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