医系小論文テーマ1-a 医療の倫理とは何か
テーマ1-a 医療の倫理とは何か
医療の倫理とは何かと問われ、きわめて単純化して応えるならば、「人の生命の尊重」と言うことになるのだと思います。しかし、現代にあっては、時として生命の定義すらあいまいに感じられる様になりました。
自分なりに納得できるような言葉で表現すれば次のようになると思います。
社会的動物としての患者さんが精神的、肉体的な苦痛を被ることなく一生を全うできるようサポートすることを第一の目標とする。
この目標実現の為には、患者さんの自己決定権が最優先されます。医者に全て任せるというのも、一つの自己決定といえるでしょう。その場合であっても検査、治療方針の決定には様々な制限があります。
例えば、安楽死や尊厳死をどこまで認めるのかは法律によって制限があります。さらに、その制限の中でも医療者、患者さん本人、そのご家族の価値観によって大きく異なると思われます。また、法律を含め、それぞれの価値観は時代、社会によって影響を 受けています。
近年では、医療の進歩に伴い、検査や治療の影響を予測したり、結果を理解したりするためには専門的な知識が必要になってきました。このため、検査や治療をする前に、患者さんが十分に説明を受け、同意を得ることが自己決定権を尊重するために必須となりました。
「社会的動物としての」という書き方を敢えてしたのは、倫理判断の中には、「目の前の患者さんさえ救えれば何をやっても良い」という考え方が常に認められるとは限らないと考えるからです。
医療者として「医療の倫理」をもって仕事に従事すると言うことは、自らの仕事が社会の中でどのように位置づけられるのかを理解しつつ、目の前の患者さん、必要な場合にはご家族も含めて強い信頼関係を結び、三位一体となって病苦に対し立ち向かうことで実現されていくのだと思います。
医系小論文テーマ別課題文集21世紀の医療 改訂版 (駿台受験シリーズ)
販売元:駿台文庫 |
« 素人的医系小論文演習事始 | トップページ | 腹肉意識 »
「医系小論文」カテゴリの記事
- 麻布中学「ドラえもん問題」(2013.03.21)
- 温故知新(2013.01.28)
- 「僕の死に方」(2013.01.07)
- Bad press(2012.11.03)
- 今朝の『NHK 視点・論点「小児の脳死臓器提供~その次に見えるもの~」』で感じたこと。(2012.07.03)
コメント