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北島亭で思ったこと

 昨年末、四谷の名店、北島亭に行ってきました。すぐに感想を書こうと思ったのですが、食べ物以上に複雑な気持ちが自分の中に残り、「北島亭」を消化するのに時間がかかりました。そういうわけで、話題のタイミングとしては外しまくっていますが、ま、仕方ないですね。

 一昨年、ミシュランに掲載されなかったこと、北島亭にずっと行ってみたいと思いつつ、実現していないことをブログに書きました。今でも時々「北島亭、ミシュラン」とかで検索し、そのページを開く人がいるので、北島亭来訪の感想を書かずばなるまい、と思っていました。

 実はブログを書いてから一度、北島亭で食事をする機会があったのですが、この時は自腹ではなかったので感想は書きませんでした。

 それから約一年。12月は妻の誕生月でもあり、クリスマスもあるということで、年末に夫婦で行ってきました。
 
 店の内外装はシンプルです。店に入ると、サービスは若手の修行中と思しき方々が担当されているようでした。爽やかな感じ。

 席について料理の注文について説明を受けました。メニューはホワイトボードに書かれています。アラカルトはなしでコースのみのメニュー構成です。最も高い15000円のコースは冷たい前菜2皿、暖かい前菜1皿、魚、肉、デザートで皿数が最も多くなります。その分、一皿ずつのポーションは少なめになっているとのことでした。

 不思議なことに、コース料理しかないのに、一品一品すべてのメニューに値段が書いてありました。何のためなのかわからず、サービスの方に質問しましたが、「一応目安と思ってください」という、何の目安だかわからないお返事でした。

 せっかく奮発して楽しみなレストランに来たのなら、一皿あたりの値段など気にせず、食べたいものを注文したいと思います。でも、高いものを注文した方がお得感がある、と感じる人もいるのかもしれませんね。

 また、冷たいデザート2皿以降の暖かい皿は、まとまったポーションで火を通すため、2人で同じ料理を頼んでほしいと言うことでした。このことは北島シェフが以前から言われていることです。

 そんなやり取りをしながら料理を決めました。

 僕がいただいたのは
 
生ウニのコンソメゼリー寄せ
田舎風テリーヌ
地鶏のムース木の子詰め
大目鮭の半生仕立て
和牛イチボ肉のローストビーフ風
 
でした。ワインは2人ともそれほど酒に強くないのでグラスワインをいただくことにしました。

 アミューズのアンチョビのクロワッサン、めひかりに続き、最初の冷たいオードブルは「生ウニのコンソメゼリー寄せ」でした。ウニの甘さが強調され、カリフラワーのソースととってもよくマッチして口の中でとろけるおいしさです。

 そして「田舎風テリーヌ」。テリーヌ好きの自分としてははずせない、と思い、いただきました。やわらかく仕上がった肉の線維の舌触りは唾液分泌を刺激します。

 味は濃厚で、ワインが進みます。この辺で早くも白ワイン終了しました。あとに魚もありますが、サービスのかたと相談し、グラスの赤ワインをお願しました。

 次にいただいたのが、地鶏のムース木の子詰め。

 これは新作料理とのことでした。鳥肉の香りのするムースに様々なキノコが入っていています。キノコのみならずレバーも入っていて、味にコクを加えています。それにキノコのクリームソースがかかっています。前菜でココまでしっかりとした料理が出てきてしまうとは。冷たい前菜の後、いきなり重たいストレートパンチをくらいました。

 そして鮭。調理まえに本日の鮭です。といって一尾をテーブルまで持ってきて見せてくださいました。このサービスは、北島亭開店当初は、北島シェフご自身がされていたのではないでしょうか。当時発売されていたフランス料理ガイドブック「グルマン」で、その日の朝に築地から仕入れてきた素材をシェフが嬉しそうに紹介する様子が書かれていたように記憶しています。今は若いテーブルサービスの方がされていましたが、伝統みたいにして残っているのだなぁ、と思いました。

 そして、料理ですが、火の通し方は本当に半生仕立て、ちょっとタタキみたいな感じだと思いました。脂ののった肉のねっとり感が残ったままの鮭と、カリカリに焼かれた皮はそれぞれに十分おいしいのですが、それが酸味のあるソースと絡むとまた、味がしまって引き立つ感じがしました。

 そして、大目鮭には脂がたっぷりのっていて、相談した通り、赤ワインでも全く問題ありませんでした。

 この皿の途中で赤ワイン2杯目に。。。

「??」僕の空のワイングラスに注がれた赤ワインは、飲みかけの妻の赤ワインと同じくらい。「なみなみついでくれなくてもイイけど、ちょっと少ないんじゃない?」と感じましたが、いい気分になってたし、「まぁ、良いか。」とそのまま食事を続行しました。

 そして最後に和牛イチボ肉のローストビーフ風をいただきました。

 もともと僕はローストビーフが好きなので、ローストビーフ風というだけで惹かれてしまいます。塊で火を通していることからこのような料理名になっているのでしょう。このお皿を食べると、塊で火を通したほうが、おいしく仕上がるというシェフの主張を、そのとおりなのだと実感できます。

 出てきた肉はピンク色をした赤身で、歯ごたえもしっかりあって力強さのあるものでした。強くかむと「ギュッ」と筋肉線維の音がしそうなくらいです。塊で火を通しているおかげだと思いますが、肉汁が失われていないところがよいところで、噛むごとに味が口の中いっぱいに広がります。

 やっぱり美味しかった。最後はおなかいっぱい胸いっぱい。早くうちに帰って横になりたい、とノックアウト寸前でした。

 独身の頃、フランス料理を食べまくっていた時期があります。今から考えれば、怪しいやつだと思いますが、一人でランチを食べに行ったこともあります。エンゲル係数のみで考えれば、原始人のように食費にお金をかけていたあの頃だったら、絶賛していたことは間違いありません。本当に美味しいストレートパンチの料理が次から次へと出てきます。

 内装はシンプルで好みもあるでしょうが、どちらかと言うと地味目です。食器も使い込まれ、皿の金箔はすり切れています。サービスも、それを専門としている方がされているとは思いませんでした。ドレスコードも厳しいものではなさそうです。「ハレの日」のためのレストランとはちょっと言い難いものがあります。

 でも、料理は肉も魚も野菜も、みんな本当に美味しいんです。

 価格設定と合わせて考えると、少なくともディナーは「美食オタク」、「とっても裕福な人」、「自腹ではなく食事ができる人」といった、比較的気軽に高額レストランで食事ができる人達を市場として存在するレストランなのではないかと思いました。

 そんなことを考えながら、二回の訪問で強い印象を残したのは、実は料理のほかに、もう一つありました。それは、若い人たちのサービスです。未成熟のように感じられるところもありましたが、気分を害されることがありませんでした。それは、若い方々の料理をサーヴする姿や言葉の端々に、自分の師匠や、この店で修行することへの誇りが感じられたからだと思います。

 客がフレンチレストランに求めるものとは違うかもしれませんが、そのはつらつとした雰囲気には大変好感を持ちました。忙しい毎日の中で、こういうチームを育て、若い人を育成するのは意外に難しいんじゃないかと思います。

 僕たちの職場にも、こういう雰囲気が生まれるといいなぁ、なんてことを感じて店を後にしたのでした。

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