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ベースボールと野球道

「ベースボールと野球道」(講談社現代新書)を読みました。

本書は日米のスポーツジャーナリストの共著によるものです。米国人ジャーナリスト、ロバート・ホワイティング氏は"You Gotta Have Wa "で米国に日本の野球を紹介した方です。日本人ジャーナリストの玉木正之氏はそれを邦訳「和をもって日本となす」された他、多彩な活動をされている方 です。

そのような二人が米国のBaseballと日本の野球の違いを挙げ、比較する本です。その相違点は400にも上ります。なかなか面白い企画だと思います。ただ、本書は今から17年前に出版されたものですから、今とはちょっと違う価値観のもとに書かれていると思います。

僕が大学を卒業した頃に、日本のプロ野球と大リーグを比較して「野球と言うスポーツの本質を考えた時、メジャーが正しいのではないかと思うのである」みたいな文章を読んで反感を覚えたのを思い出しました。恐らく当時はそんな先入観念があったのではないかと思います。

それは次のような本書の後書きにも表れています。

「この本をまとめあげて感じる事は、アメリカのベースボールには、いかにも(良くも悪くも)アメリカ人的であると思わせられる項目がたくさんあるのに対して、日本の野球には、いかにも日本人的と胸を張れる項目がきわめて少ない事である。」

日本人は何事につけ「道」にするのがスキですから、そう言う点でベースボールとは違う所は多々あると思います。また、高校野球の存在も日本の野球を特徴づ けるものだと思います。こういった事に起因して真面目さ、几帳面さ、真剣さ等が、時に論理を伴わない所がこのコメントにつながったのでしょう。

けれども本書が世に出てから、野球の歴史は大きく変わりました。北京オリンピックでは残念な結果でしたが、WBCで優勝してしまい、野茂がメジャーへの扉 を開き、イチローがメジャーの記録を更新し、多くの日本人プレーヤーがメジャーで活躍しています。国内でも選手会がストライキを実行にうつしました。今、 同じ企画をしたら、同じ相違点も少し違った解釈なるのではなかろうか、と思いながら読みました。

サッカーの各国代表は、それぞれの国の文化を背景に、特徴的な試合運びをします。同様に、野球もそれぞれの国で異なる戦術を得意とするようになって、競い合うようになればふたたび五輪の正式種目となる事もできるのではないかと思います。

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著者:Robert Whiting
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