_

関連

無料ブログはココログ

« 原監督のインタビュー、意外な類似点 | トップページ | 人生は勉強より世渡り力だ »

発熱顛末記

10月8日長男が発熱しました。この為、学校を休んで小児科受診しました。そしてこの日、フロモックスという抗生物質を処方されました。加えてカロナールという解熱剤を頓服で3回分処方していただきました。

けれどもその後、カロナールを使用するも、翌朝まで39度の発熱は全く解熱せず、その後、喉の痛み、咳もひどくなり、殆ど眠れない一夜を過ごす事になりました。

10月9日の午後になっても症状の改善傾向を全く認めず、39.5度から解熱しないため、16時ころ再度同じ小児科を受診しました。

抗生物質がフロモックスからクラリスに変更となり、咳止め、去痰剤が3日分、追加処方されました。発熱に対しては、頓服のカロナールに加え、アンヒバ座薬 200mg3本が処方され、対応するようにと言われました。ここで抗生物質の必要性、ウイルス感染の可能性などは説明されず、少々不満もありましたが、マイコプラズマ感染症などの可能性も考え、処方には一応納得して帰宅しました。

その後、帰宅してからが大変でした。18時頃アンヒバ座薬使用。20時には体温は38.6度まで解熱するも、23時には39.3度まで再上昇。アンヒバ座薬、カロナールを使用し、頸部、両腋下クーリングするも解熱せず。腹痛症状も出現し、翌朝5時45分には胆汁様の嘔吐が出現しました。同時に、腸蠕動音の 著明な亢進が認められました。

10月10日7時には39.3度で、カロナールを含め、抗生物質、咳止め、去痰剤を内服しました。これで解熱しなければ、小児科再受診、場合によっては基 幹病院への紹介もお願いしなければ、と考えましたが、幸いな事に、37度台まで解熱したので、このまま内服を継続し、経過を見ることにしました。20時に は38.6度の発熱を認めましたが、クーリングのみで翌朝には37.1度まで改善し少し安心しました。。

以後、10月12日朝に内服終了しましたが、12日の夜まで体温はずっと37度台を維持していました。ところが20時半頃、嘔吐出現し、21時になり突然39度の再上昇を認めたのです。

強い症状が5日にわたって続いている事、いったんは改善傾向を見せていた高熱が再出現した事から、夜間救急センターを受診しました。

血液検査、アデノウイルス抗原検査、胸部X線検査を施行していただきました。

白血球の増加は認めず、炎症反応も0.8程度、胸部X線にも肺炎像は認めず、まずは一安心でした。胸部X線写真には著明な大腸ガスが写っていて、腹部症状 を反映したものと思われました。また、アデノウイルス抗原陽性で、今回の一連の出来事はアデノウイルスによるものである事が判明しました。ずっと飲み続け ていた抗生物質は病状の経過に何の影響も与えていなかった事が判明しました。

9時すぎに受診して、検査結果が出て薬を処方され帰宅したのは夜中の1時でした。

大分バタバタしましたが、病気の原因がある程度同定されたことでちょっと安心しました。 今回、患者(の家族)の側に立って思った事がいくつかあります。

その一。最初に診ていただいた小児科の先生も心配されていたようで、「週末もいつでも来ていいですよ」とは言って下さいましたが、この様な場合、1日または2日後あたりに受診を指示していただけると有り難かったです。

その二。救急医療センターでのドクターの言葉です。「抗生剤を飲んでいて細菌は出ないと思うので培養は出しません。アデノウイルス抗原検査だけしましょ う。」「治療は薬で症状を抑えるしかありませんね。 」これらの説明を理解するためには背景知識が必要です。具体的には、下記のようなものです。
 1、バクテリア(細菌)とウイルスが生物学的に異なること。
 2、バクテリアは培養検査、ウイルスは抗原検査で同定する事。
 3、抗生物質は細菌にしか効かない事。
 4、細菌感染を証明するための培養検査は抗生物質投与前に施行しないと細菌が増殖せず、細菌感染症であっても陰性という結果となってしまう事。
 5、ウイルスはインフルエンザウイルスなど特殊なものを除き、一般には治療薬がなく対症療法をするしかない事。
こういった事をとばさずに説明するようにしたいものです。

その三。救急医療センターで。患者は39度近い発熱でぐったりしているのですから、4時間も待たされている間、解熱剤の座薬くらいやってもらったら有り難かったです。これは主張しなかった僕にも父親としての責任の一端があったと反省しています。

その四。アデノウイルス感染症も意外に症状が長期化する事がある。アデノウイルスは遺伝子治療などで良く用いられるウイルスで、僕も実験で使った事があります。 でも、弱毒化されたものを使っていたせいか、「風邪の原因となる」と(比較的軽く)紹介されるためか、甘く見ていたのは正直な所です。

アデノウイルスを 使った遺伝子治療で肺炎になった報告は確かにあります。でも、アデノウイルスによる風邪でこれ程こじれる事があるとは正直思っていませんでした。遺伝子治療における生物 学的ベクターの危険性を恥ずかしながら初めて実感しました。

上記四つの中には結果論のものもありますが、自分も気をつけて、これから仕事をしていこうと思います。

そして最後に、実験でアデノウイルスをネズミに注射すると、アデノウイルスは肝臓に沢山取り込まれるのですが、長男の血液検査では肝逸脱酵素の異常は全く認められませんでした。当然の事ですが、実験と臨床の間には大きな違いがあるのだなと、けしからん事ですが、そんな事も改めて思いました。

« 原監督のインタビュー、意外な類似点 | トップページ | 人生は勉強より世渡り力だ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 発熱顛末記:

« 原監督のインタビュー、意外な類似点 | トップページ | 人生は勉強より世渡り力だ »