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カメ 後期臨床研修制度について考える

今、職場でホームページ(HP)の作成を仰せつかり、様々な雑事の一つとしていくつか文章を書いています。その一つに、後期臨床研修を受けるドクター向けのものがあります。

どうせ公開されるものですし、

その公開はしばらく先になりそうだし、

折角書いたし、

忙しくて他に文章書いている暇もないし、

色々なご意見がいただければそれも参考になりますし、

と言うわけで、ソフトウエアのβ版みたいな感覚で、ブログバージョンにしてここで公開しちゃおうかな、と考えました。

もともと、若い人に向けての文章だったのですが、ブログバージョンにしているうち、いつの間にか矛先が自分に向いてしまい、書きながら背中で大汗をかいてしまいました、、、。

HPに載るのはちょっと違った形になるかもしれませんが、(少なくとも途中までの)大筋は変わらないつもりです。

今、僕の考える消化器内科の専門研修としての後期臨床研修は、イメージとして こんなものでないかと考えています。

近年、医療崩壊が叫ばれる中、制度疲労をおこしたこれまでの医療制度が大きな変革期を迎えています。この変革期にあっては、臨床研修制度も例外ではありません。改革の対象となります。

しかし、どのような研修が理想的なのか、暗中模索が続いているのが現状です。このため、国レベルでの臨床研修制度改革に加え、多くの施設で臨床研修のシステムがshort termで変更される傾向にあります。

それでも、国家試験と内科初期臨床研修については多くの情報があります。システムも整ってきています。一方、後期臨床研修についての情報は、施設ごとに個別の情報が五月雨式に提供されているに過ぎません。

新制度を考えていた時から長期的展望が存在し、後期臨床研修システムの改革が視野に入っていたようにはとてもみえません。今になって(慌てて)システムの策定にあたっている、恐らくそれが多くの施設における現状だと思います。

しかし、良医育成のために必要とされる基盤が突然変わったわけではありません。システム等によらず学ぶべき「変わらない本質」は存在しているはずです。

その存在を信ずるあまり、それを伝授するシステム構築が軽視され、後手に回ってしまった、とも言えると思います。昔ながらのエネルギッシュなドクター達が、教育論をべらんめぇ調で熱く語るとそんな感じになりそうな気がします。

これは決して悪い意味で言っているつもりはありません。その様なドクター達に素晴しい人たちがいる事は見てきたつもりです。

ただ、この様な時代だからこそ、研修を受けるドクターは、システムに惑わされてはいけないのです。「変わらない本質」を見極める事が大切です。

惑わされやすいのは専門医という資格の誘惑だと思います。

今、多くの施設で 専門医資格を効率よく取得出来ることが唱えられています。

でもこの資格は「変わらない本質」を保障するものではありません。必要とされる一定のレベルを保障するためのものです。それは、専門医試験の多くが合格率80%以上であることを見れば明らかです。

努力は必要ですが、受験資格さえ得られれば、本質的な意味でのハイレベルを要求するものではないのです。

この意味で、効率的な専門医取得を第一の目的として研修先を決定するのはいかがかと思います。

根幹となるものを形成する事ができるような研修ができるかどうか、曖昧な言い方のようですが、そんな事を考えるべきだと思います。

消化器内科医としての習得すべき「変わらない本質」とは何でしょうか。それは、技術の習得と内科的診療の両立であると考えます。

技術の習得に関連して、消化器内科領域の大きな特徴は、扱う臓器の数にあります。

診療範囲は、上・下部消化管、肝臓、胆道、膵臓にわたります。それぞれの臓器の疾患を診断するために特徴的な検査が存在します。実際の診療に際しては、消化器のみならず、他科の疾病に関連する症状、所見にも多く出会います。消化器疾患の診断のみならず、他領域との関連性も的確に診断しなくてはなりません。

さらに、この検査技術を基礎に、高度な治療技術を習得する必要があります。

治療に関しては、穿刺、切開を伴う侵襲的な治療以外に、薬物療法を主体とする内科的治療も重要です。現在の内科治療にあっては、抗癌剤やインターフェロンのような副作用の強い薬剤も、必要に応じて使用しなくてはなりません。この様な薬剤の選択と使用にあたっては内科的な知識と診療技術が特に重要となります。

また、病状によっては、外科や放射線科などとも緊密な連携をとって治療計画を策定する必要のあることも多くあります。以上から明らかなように、治療方針の決定や、他科コンサルトのタイミングなど適切な臨床判断のため、幅広い知識と臨床経験が必要とされます。

最後に、消化器内科領域は、癌を含む様々な疾患の終末期に立ち会う機会も多い領域です。

このため、患者さんの様々な症状に対するケアが治療の中心となる事もあります。この場合、ご家族も含めた精神的、社会的な配慮が必要で、これは簡単にパターン化できるものでもないし、するべきでもないものだと思います。こういった経験を積むことも、大変重要なことです。

専門教育というのは一生続くものだと思います。知識も技術も進歩は留まるところを知りません。いずれも上を見ればきりがないくらい、沢山知っている人、上手な人がいます。

文章を書きながら、自分の未熟を改めて自覚し、その事を強く感じました。どんなに最先端の専門研修を受けたとしても、本人が進歩しなければ時代に取り残されてしまいます。

未熟でも進歩にしっかりとついていく事は将来も要求され続けます。

結局、学ぶべき一番の事はself educationの方法を身につける事だと思います。

ただ、これは医者になってから、専門家になってから身につけるような類いのものではないですね。

いつでも身につけられるけど、早く身に付けないと追いつけなくなります。

僕は今からウサギにはなれないけれど、ガッツのあるカメになりたい。

それにならなれそうな気がします。

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