不動心
不動心 松井秀喜著 を読みました。
7月の松井選手は調子が良かったですね。本書の中で打撃フォーム改造についても触れられています。構えをがに股にしたのですね。がに股と言えば中日の種田選手の構えが有名ですが、実はヤンキースのキャプテン、Derek Jeterも、がに股の構えです。昨年6月に骨折をした事を後から結果として良かったと言えるようにしたいとフォーム改造を試みたとの事です。このあきらめずに上を向く positive thinking に彼の真骨頂があると思います。
本書を読んで、「決断力」羽生善治、「集中力」谷川浩司 の2冊の本を重ねあわせた感想を持ちました。羽生善治氏、谷川浩司氏、松井秀喜氏に共通するもの、それはスキなものへの「努力」と「継続」とそれを支える「意志の力」だと思いました。
スキな事を見つけられた事、これは幸運なのか、資質も関与しているのか、そこはわかりません。
けれども、それを極めるため、自らのレベルを高める努力についてシステマティックな思考をめぐらせ、それを実践、継続するという事において、幸運の関与はきわめて少ないと思います。 本書においても松井氏の謙虚な姿勢の中に、冷静で強い意志を感じました。
スポーツには確率というものがつきものです。どんなに万全な準備をしていても、「絶対に」をいうことは「絶対に」あり得ません。この不確実性を基礎として なおかつ結果を求められるという点は実生活ときわめて近いものがあります。ですから、それに対する彼の備え方には、僕たちの参考になるところが多々あるの だと思います。
また一方、実生活と類似した状況への備え方を語れば、当然の事を言っているように感じられる事もあると思います。
第2章「コントロールできること、できないこと」
第3章「努力できる事が才能である」
第4章「思考で素質をおぎなう」
第5章「師から学んだ柔軟な精神」
といった各章の題は、見ようによっては当たり前の事とも言えます。そこに説得力があるように思えるのは、殆どの内容が野球を通して語られている事が大きな要因であると思います。
2006年5月11日の骨折、ワールド・ベースボール・クラシックへの不参加、大リーグへの移籍の決断、甲子園での5打席連続敬遠など、これまで の野球人生における数々のエピソードや、日々の野球に対する姿勢を語る事により、「当たり前の事」に対する「松井秀喜の考え方」がていねいに語られます。 彼ほどの実績を残している人が、「自分には才能がない」と言い切った上で語っているのに嫌みな感じは全くしません。
また、松井氏の言葉のみならず、彼が師と仰ぐ人たちの言葉も心にしみいるものがありました。
「松井、これから大変だけどな。リハビリは嘘をつかないぞ。頑張るんだぞ。いいな、松井」
(骨折した松井に対して自らの経験をふまえ、未来の事のみを語った長嶋元巨人監督の言葉。)
「心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。」
(星稜高校野球部山下監督から教えてもらった、ベンチや室内練習場に掲げられている言葉 )
といったものです。
「師に恵まれる事」は運も必要かもしれませんが、教えを受け、それを自分のものとするためには人間性も必要だと思います。松井氏のとても謙虚な語り口にそれを垣間見た様な気がしました。
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