紐育 ニューヨーク!
紐育 ニューヨーク!―歴史と今を歩く
鈴木 ひとみ著 集英社
マンハッタンを中心とするニューヨークのガイド。マンハッタンを広くカバーしており、ニューヨークってどんなとこ?マンハッタンって島なの?どこが見所?なんてことをざっと知るにはとても良い本かも知れません。
ニューヨークの歴史についてだけでなく、2000年頃から2006年にかけての話題なども盛り込んで記述されているので、この頃に住んでいた自分と重ねあわせながら読みました。
ニューヨークの面白さの一つに、車が必要ない程密集した狭い地域がいくつにもわかれていて、それぞれに異なった顔を持っている事があると思います。言ってみれば「下町」と「山の手」みたいな違いなのですが、東京よりもずっと小さくて、人種、民族、職業、経済力などの似た人たちが非常に凝縮された中に集まっています。そのためちょっと歩くと全く別の顔を持つニューヨークを見る事が出来るのです。
この本を読み終わったとき、色々なヒトが、それぞれの価値観で暮らしていて、十人十色の経験ができる街だと改めて思いました。ですからこの本の内容が僕の実感と違っていても全く問題ないと思います。
僕が住んでいた所はアッパーウエストと呼ばれる所の北のはずれの方でビミョーに出てきません。アッパーウエストも一応紹介されているのですが、自分の実感とは少し開きがあります。
アッパーウエスト地区のセントラルパーク沿いにはセレブが多く住むと紹介されており、確かにそれも事実かもしれません。ただ僕は、この本に出てくるようなセレブに出会った事は一度もありませんでした。(気づかなかっただけ、かも知れません。)生活している実感としては、アッパーウエストに関しては映画「ユーガットメール」が一番近い感じです。(あんなにおしゃれではありませんが。)
軽妙な調子で始まったニューヨークガイドは、ニューヨークを語る上では今や外せなくなった、9・11およびその後について、祈りにも似た平和への願いのこもった、しかし軽妙な調子を保った記載で終わりを迎えます。
「戦争、暴動、火事、経済恐慌、停電、テロ。何でもあり、何があってもヘッチャラさ、と倒れてもすぐ立ち直る、起きあがりこぼし精神で、ずぶとく生き延びてきた街では、みんな違って、みんないい。
それが、ずばりニューヨーク。」
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素敵なご紹介文、ありがとうございました! 12月14日の発売前日から2週間、本屋巡礼の旅、と称して日本全国を回り、再び紐育に戻る所です。一冊の本に関わって下さる方々、一人一人にお礼を言いたくて、こんなご挨拶メイルとなりました。どうぞよいお年をお迎え下さいね。そして、次回は紐育でお会いできますよう。
投稿: 鈴木ひとみ | 2006年12月28日 (木) 18時30分