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メジャーリーグと高校野球と少年

 僕たちが3年8ヶ月のニューヨーク生活に終止符を打って日本に帰国したのは2005年8月でした。

 帰国すると、テレビでは夏の甲子園大会が放映されていました。この年の甲子園大会は北海道代表駒大苫小牧が夏の甲子園二連覇を成し遂げた大会でしたが、その他にも京都代表の京都外大西が岡山代表の関西にサヨナラ大逆転で勝利し、敗れたエースがマウンド上で崩れ落ちて号泣するなど、いつも通りの数々の熱いドラマが繰り広げられていました。

 小さい頃、高校野球に夢中になってテレビにかじりつくように見ていたのを思い出しながら見ていると、5歳の長男が同じように高校野球を一生懸命見ていました。

 そんな彼が2−3日して突然、僕に質問してきました。
 「ねぇ、僕がどうして高校野球が好きだか知ってる?」

「わかんないなぁ。」
と僕。息子はニヤッと笑って
「それはね、子供がやってるから。」
と答えました。

 考えてみると、彼はニューヨークのテレビで見た事のある野球は全てアメリカ大リーグのものでした。彼にとってはテレビで見る野球=プロ野球だったのです。

 そんな彼には一球一球に思いを込め、緊張し、結果によっては泣き崩れてしまうような高校生の表情に、自分に通じる純粋さとあどけなさとを感じ取ったのでしょう。

 人の真剣な眼差しは、言葉がなくても通じるものだなぁと感じました。

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