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2008年7月21日 (月)

本を読む本

本を読む本 (講談社学術文庫) 」を読みました。

イヤ読みにくい、実に読みにくい本でした。

読みにくい理由には翻訳だから、ということもあるかも知れませんが、多分それだけではないと思います。本書の中で、読書をスキーにたとえる話が出てきますが、スキーをせずに文章だけでスキーのやり方を説明しているような感じなのです。

加えて、

「第五規則だけでなく、次の章に述べる他の規則にも、この二つの手順が必要である。」

なんて言う表現が次から次へと出てきます。ボーっと流し読みをしていると、「第五の規則」「他の規則」「この二つの手順」が一体何を指しているのか、訳が分からなくなります。行ったり来たりしながら読まないといけません。

一方、この本は「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法 」の著者、勝間氏ご推薦だそうです。「効率が〜」の構成を見てみると、この本とよく似ているのがわかります。「打たれ強くなるための読書術 (ちくま新書 705) 」の種本ともなっています。他でも色々と推薦されているようなので、影響力の大きい本であるといえるでしょう。

巻末を見ると初版は1997年となっていますが、筆者から日本の読者にあてた前書きを見ると、この本の最初の日本語訳は1978年に出版されているようです。 そして原書が初めて米国で刊行されたのは1940年と言うことですから、半世紀以上前と言うことになります。

以上から、読書論に関する古典的名著の一つと言って良いのだと思います。

読書を文字通り「書を読む事」と定義するのであれば、文字さえ読めれば読書ができる事になります。しかしそれでは知的成長は望めません。僕たちが小学生の頃、読書を推奨されたのは、単に文字が読めるようになる事のみが目的ではなかったはずです。

言葉によって初めて高度な思考が可能になります。けれども、無から言葉を紡ぎ出す事は不可能に近いと思います。情報を得る事が必要です。その情報は、実体験を言葉に変換して情報として発信するか、他者の言葉を通して得るかのいずれかになります。

この情報を獲得する手段として読書が重要な位置を占める事は過去も未来も変わりないと思います。読書が手段であればそこには技術も存在するわけで、その技術論を説いたのが本書、と言う事になります。

この点で、読書を技能として習得する目的で多くの人にとって、読む価値がある本だと思います。

スキー同様、読んだからと言ってその技能が習得できるわけではありません。また、同じ様な事を書いた本も多々あるかもしれませんが、一次情報を古典から得ておく事は、知識を多角化して位置づける事に役立つと思います。

書いてある事は至極まっとうです。本書では読書のレベルに名前を付けて論じます。それをスキーの技術になぞらえると下記のような感じになるでしょうか。

 直滑降   = 初級読書
 ボーゲン  = 点検読書
 パラレル  = 分析読書
 ウェーデルン= シントピカル読書

本書では目標は最後のシントピカル読書ができる様になる事とされます。これは学術論文を書くときの頭の使い方に似ているように思います。それを全部いっぺ んにやれ、と言われると大変なように感じます。また、スキーと同様、これらの技術全てができないと読書が楽しめないわけでもありません。が、これらを技術 として色々な分野で活用することが出来れば、知的に生産的になれますよ、という事だと思いました。

以下は本書の覚え書きです。本書中にまとめられている部分もありますし、文学作品についてのところははしょってあるなど、僕のまとめが不十分なところもあると思いますので、あくまで参考までに。


☆ 読書は学ぶための手段であるが、学びにも「教わる事」と「自ら発見する事」の二種類がある。積極的読書により、「自ら発見する事」による学びが可能となる。その為には技術が必要である。

☆読書のレベルには4つがある。
 1)初級読書
 2)点検読書
 3)分析読書
 4)シントピカル読書
 1)~4)は段階的に習得していくもので、4)のレベルの読書をするためには1)~3)も同時に実行されている。

☆初級読書
 本を始めから終わりまで読んで理解できるようになる事。

☆点検読書
 拾い読みや下読みなどによって本の全体像を短時間に把握する。
 この時点で積極的に本を理解するために必要な四つの質問
  1)全体として何に関する本か
  2)何がどのように詳しく述べられているか
  3)その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か
  4)それにはどんな意義があるのか。

☆分析読書
 ◇分析読書の第一段階 本の構造をつかむ
   第一規則 今読んでいるのがどんな種類の本かを知る。本を分類する。
   第二規則 その本全体の統一を二,三行か、せいぜい数行の文にあらわしてみる。
   第三規則 その本の主要な部分を述べ、それらの部分がどのように順序よく統一性をもって配列されて全体を構成しているかを示す。
   第四規則 著者の問題としている点は何であるかを知る。
  ◇分析読書の第二段階 本の内容を解釈する
   第五規則 重要な単語を見つけ出し、それを手がかりにして著者と折り合いをつける。
   第六規則 最も重要な文に注目してそこに含まれる命題を見つける。
   第七規則 一連の文から基本的な論証を見つけ、これを組み立てる。
   第八規則 著者の解決が何であるかを検討する。
  ◇分析読書の第三段階 本を正しく批評する
   ・批評
    批評の第一規則 確実に理解をした上で、賛成、反対、判断保留、の態度を明らかにする。
    批評の第二規則 単に攻撃的な反論はしない。理性的、論理的に。
    批評の第三規則 いかなる判断にも、必ずその根拠を示し、知識と単なる個人的意見の区別を明らかにする。
   ・批判
    批判が下記のいずれに基づくものであるかを明確にする。
    筆者の1)知識不足2 )知識の誤り 3)論理的矛盾 4)不十分な分析や説明

☆シントピカル読書
 同一主題について複数の本を読み考察を深める。
  第一段階 関連箇所を見つける。
  第二段階 読者自身がキーワードを定義し、他の著作をその定義に従って自らの言葉で表現する。
  第三段階 質問を明確にする。その質問に対し、それぞれの著作をもとにした場合、どのような答えが導き出されるのか。
  第四段階 論点を明確にする。導き出された答えが異なる場合、その相違は何に基づき生まれるのかを明確にし整理する。
  第五段階 整理された論点につき考察を加える。一般的な論点を扱ってから特殊な論点に移る。各論点がどのように関連しているかを明確に示す。

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